高山市議会 > 2022-06-13 >
06月13日-03号

  • "国民"(/)
ツイート シェア
  1. 高山市議会 2022-06-13
    06月13日-03号


    取得元: 高山市議会公式サイト
    最終取得日: 2022-12-26
    令和4年第5回定例会令和4年第5回高山市議会定例会会議録(第3号)=======================◯議事日程 令和4年6月13日(月曜日)午前9時30分開議第1 会議録署名議員の指名第2 一般質問  ================◯本日の会議に付した事件 1 日程第1 会議録署名議員の指名 1 日程第2 一般質問     16番 松山 篤夫君     18番 車戸 明良君     11番 山腰 恵一君     14番 中筬 博之君      3番 西本 泰輝君      8番 西田  稔君  ================◯出席議員(22名)   1番             石原正裕君   2番             笠原 等君   3番             西本泰輝君   4番             松林 彰君   5番             中谷省悟君   6番             伊東寿充君   7番             谷村昭次君   8番             西田 稔君   9番             沼津光夫君  10番             榎 隆司君  11番             山腰恵一君  12番             渡辺甚一君  13番             岩垣和彦君  14番             中筬博之君  15番             倉田博之君  16番             松山篤夫君  17番             上嶋希代子君  18番             車戸明良君  19番             水門義昭君  20番             橋本正彦君  21番             中田清介君  22番             小井戸真人君  ================◯欠席議員(なし)  ================◯欠員(2名)  23番  24番  ================◯説明のため出席した者の職氏名  市長              國島芳明君  副市長             西倉良介君  企画部長            上田和史君  総務部長            荒城民男君  財務部長            平野善浩君  市民活動部長          西永勝己君  福祉部長            川原幸彦君  市民保健部長          橋本 宏君  農政部長            林 篤志君  林政部長            東野敏朗君  商工労働部長          倉畑政之君  飛騨高山プロモーション戦略部長 清水雅博君  建設部長            中垣内一君  都市政策部長          北村幸治君  総括支所長           松井文彦君  高根支所長           尾前隆治君  教育長             中野谷康司君  教育委員会事務局長       田中 裕君  消防長             松山孝生君  ================◯事務局出席職員氏名  事務局長            川田秀文君  次長              二村伸一君  自動車運転職員         櫻本明宏君  ――――――――◯――――――――     午前9時30分開議 ○議長(水門義昭君) これより本日の会議を開きます。  ================ △日程第1 会議録署名議員の指名 ○議長(水門義昭君) 日程第1 会議録署名議員の指名を行います。 本日の会議録署名議員は、会議規則第80条の規定により、議長において、西本泰輝議員橋本正彦議員を指名します。  ================ △日程第2 一般質問 ○議長(水門義昭君) 日程第2 一般質問を行います。 それでは、松山議員。   〔16番松山篤夫君登壇〕 ◆16番(松山篤夫君) 古代中国の政治論集『管子』に、「1年で成果を挙げようとするなら、穀物を植えることだ。10年先を考えるなら、木を植えることだ。終身の計を立てるなら、人材を育てることに尽きる」という有名な言葉があります。穀物と木と人材育成、この角度から、順序は木と穀物、ちょっと入れ替えましたが、質問させていただきます。 最初に、山林の違法伐採についてお伺いいたします。 今年4月から伐採届の様式が大幅に変更されました。伐採届というのは、林業などで立木を伐採する場合、事前に地元の市町村に森林所有者などがその予定地の状況や伐採計画及び伐採後の造林計画などを届け出るものである。 もっとも、これまではほとんど紙の上だけのもので、行政窓口も書式とか連絡先などをチェックするだけで終わっていました。また、伐採完了後、届けられた計画どおりに再造林されたかどうか疑わしかったことも多かったようです。 ところが、今回の改定では、伐採完了後、造林完了後も状況報告をしなければならないようになりました。それも伐採者、造林者がそれぞれ伐採計画書、造林計画書を提出します。内容も細かく、伐採方法や伐採率、集材方法、あるいは造林の方法、樹種、期間などを記さなくてはならなくなりました。届出違反があった場合、100万円以下の罰金なども科せられます。 なぜこんなに届出が厳しくなったのか。それは、盗伐対策のためです。全国的に違法伐採が後を絶たなく、特に昨年から木材価格が高騰するウッドショックが続いていますが、これまで安過ぎてもうからないと放置されていた山が金になると気がつくと、他人の山であろうと勝手に伐採して木材を盗むわけです。もちろん、素早く終わらせようと乱暴な施業をするので、山肌を荒らし、土砂崩れを招いたり、水質汚染を引き起こしたりしがちです。 特に杉生産量日本一が30年続くと自慢する宮崎県では頻発しており、一体、市場に出てくる木材の何割が盗伐なのかと嘆かれるありさまであります。その手口は様々ですが、目立つのはごく小さな面積の森林伐採計画を届け出て、その許可を元に大幅に逸脱して周辺を広く切るものです。 宮崎県の例では、伐採届ではほんの30坪の土地の伐採のはずが、周辺の他人の土地1ヘクタール近くを勝手に切ってしまっていました。もちろん、跡地は造林もしないで放置されています。 そして、最近は、ほかの各県でも広がり始めています。目立つのは九州ですが、中国四国や東北、北海道でも盗伐があったという情報が伝えられています。 そうした中で、伐採届の記載を厳しくして、事後の報告も求めたのは、僅かながらも1つの方法です。 グーグルアースを活用したモニタリングシステムも試行を終えて、4月より運用を開始しています。撮影時期の違う衛星画像を突き合わせることによって、各地の伐採状況を把握する仕組みです。伐採届の出ていない山が切られていたら、違法伐採の疑いが濃厚になります。 盗伐を単に樹木の無断伐採行為と表面的に捉えると、小さな窃盗犯扱いで終わります。しかし、これは重大な環境破壊であります。盗伐された木材が堂々と流通に乗っているのですから、産業の構造的腐敗だとも言えます。それは、証券会社のインサイダー取引などと同じレベルで捉えるべきものであり、社会的なインパクトが大きい行為であります。 必要なのは、行政が伐採届を机上で処理するのではなく、現場をチェックする体制です。伐採予定地の事前、事後を目で確認して、届出どおりに作業を行ったことを証明することです。伐採届の監査や受理、不受理は、伐採業者に対して行政側の大きな権限となります。また、担当官が林業に関する知識を持ち、常日頃から山林を巡回していたら、怪しい動きを早く察知できます。 小さな自治体ではそれを行える人材がいないことを指摘されていますが、林野庁や総務省では県庁OBなど林業業務に詳しい人を地域林政アドバイザーとして活用する制度も設けて、盗伐の抑制のためやれることはまだまだあると考えますが、市の違法伐採、盗伐の今の状況をどのように捉えておられるか、お伺いさせていただきます。   〔16番松山篤夫君質問席へ移動〕 ○議長(水門義昭君) 東野林政部長。   〔林政部長東野敏朗君登壇〕 ◎林政部長(東野敏朗君) 近年、伐採地の集材路からの土砂流出や、造林に適したところでも皆伐後に再造林が行われない状況が見られることなどの課題があることから、その解消に向け、今年4月から伐採届出制度が見直され、適正な伐採と更新の確保の強化に加え、違法伐採への対策が盛り込まれたところです。 議員御指摘の違法伐採や盗伐の事案は、全国的には発生しているということは承知しておりますが、現在のところ、市内では確認しておりません。 今後も、伐採届出制度の周知、運用により、市の広大な民有林の適正な管理に取り組んでまいります。 ○議長(水門義昭君) 松山議員。 ◆16番(松山篤夫君) しっかりした管理体制をお願いしたいと思いますが、チェックする人材については、今十分足りているのかどうかお伺いさせてください。 ○議長(水門義昭君) 東野林政部長。   〔林政部長東野敏朗君登壇〕 ◎林政部長(東野敏朗君) チェックする体制につきましては、本庁及び支所にしっかり人員を配置しております。 また、年に1回、岐阜県のほうで間伐届出等の事務の研修会がございますので、そちらのほうにもしっかり参加をさせていただいております。 ○議長(水門義昭君) 松山議員。 ◆16番(松山篤夫君) 引き続き、よろしくお願いしたいと思います。 それでは、次の質問に入らせていただきます。 次は、金融教育についてお伺いさせていただきます。 今年4月から始まる高校の家庭科で、資産形成についての授業が始まるなど、お金の教育に注目が集まっています。 私たちは日本語を国語の授業で学びます。では、お金についてはどうでしょうか。日本語や四則演算と同じぐらい毎日お金を使うのに、学校でお金について教わることはなく、不自然だという指摘があります。 金融庁は、小学生、中高生用の「基礎から学べる金融ガイド」という冊子を出しています。 中高校生用のホームページの冒頭には次のようにあります。「社会人として経済的に自立し、より良い暮らしを送るために、金融に関する知識と判断力を身につけましょう。現代の社会では、誰であっても、生涯にわたってさまざまな金融商品と関わりを持つことになります。金融に関する知識と判断力(金融リテラシー)を身につけることは、わたしたちが、より自立的で安心かつ豊かな生活を送るために必要な生活スキルを高めることでもあるのです。この冊子が、日々の暮らしに少しでもお役に立てば幸いです」。このようにあります。 先ほど申し上げましたが、この4月より、高校の新学習指導要領は、家計管理などを教える家庭科の授業で、資産形成の視点に触れるよう規定し、株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴を教えることになりました。また、金融庁では、小中高校大学等での金融経済教育に関する出張授業や、教員向け研修会等への講師派遣を実施しています。 本来ならば、中学卒業までに金融の基礎をしっかり教えなくてはならないのに、学校で教えるのは銀行のメカニズム程度で、これでは泳ぎ方を教えずにいきなり大海原に放り出すようなものだとの指摘もあります。 まだまだ蔓延する、学校でお金の教育とは何事だといった風潮がありますが、これまでの学校教育の在り方ゆえに、日本はネガティブ金利の時代にあって個人金融資産の52.9%を現金預金が占めることになり、また、老後2,000万円問題で、これだけ多くの国民が悩まねばならなかったんだという見解もあります。 確かに、そんなことを考えずとも生きていける時代もありました。例えば、1974年の郵便貯金の定期預金の金利は何と7.5%、預金するだけでお金が10年で2倍近くに増える計算です。 しかし、私たちは現在どうでしょうか。終身雇用制度も崩壊し、金利はほぼゼロ、お金を銀行に預けても、物価上昇に伴い資産価値は目減りするだけです。そして、老後資金2,000万円問題で取り沙汰されたとおり、個人で老後の資産形成をしていく流れはもはや不可避です。 この時代を生き抜くには、マネーリテラシーは自分を守る砦、いや空気ぐらい必要不可欠なものです。今のこの時代、高校から基本的な金融商品の特徴を教えるなどとはあまりにも遅過ぎます。高度化、多様化した金融商品を自己責任で選び、大幅に伸びた老後を自分で設計していかなければならない人生100年時代です。 日本銀行による調査では、2021年の日本の家計の金融資産は現金預金が半分以上を占め、株式等、投資信託は合わせて15%以下という結果です。片やアメリカでは、株式等、投資信託は50%以上を占めています。いかに日本人は投資を敬遠しているかが分かります。 なぜ日本の義務教育にはお金の授業がないのか。子どもがマネーリテラシーがないまま大人になると、お金、収入を得る選択肢だって限られてしまいます。時間を切り売りする労働集約型的な働き方しか知らず、収入を得る手段は給与所得しか思い浮かびません。 そんな働き方の選択肢が少ない状態は、終身雇用制度が崩壊した時代では心もとないものです。人生はお金が全てじゃないという人もいるでしょう。しかし、資本主義社会で生きていく以上、お金なしで生きていける人はいません。 また、日本では、古くからお金、イコール卑しいものとされ、そのイメージが根強いのも、お金の教育が進まない一因だと考えられます。お金、イコール学ぶものという意識改革が必要です。 今の日本は昔よりもお金の教育が普及していると感じますが、まだ十分とは言えず、結局は、お金の知識は親からの教えがメインです。言い換えれば、それは、親のマネーリテラシーを子どもは超えられないということです。 何より義務教育化することで、子どもたちにお金は学ぶものという意識が浸透していきます。あらかじめお金、イコール学ぶものと知っていたら、将来、家を買ったり、子どもを進学させたり、お金の知識が必要となったときに、改めてお金を正しく学んで正しく扱うハードルが格段に下がっていきます。これが最大の意義だと思います。 人生の中では、就職や結婚、子どもの教育、住宅購入など、様々なイベントが発生し、その時々でお金がかかります。そこで、こうした人生における各種イベントを想定して、どのぐらいのお金がかかるかを考えて準備したり、あるいは、病気や災害といった想定外の事態に備えたりしておく必要があります。 自分のライフプランを早いうちから考えておくことは、自分の将来のビジョンを明確にする上でとても重要です。また、ライフプランとお金の話等を同時に考えることで、人生設計で描いた内容を実現し、充実させていくこともできます。 将来に向けてお金を準備するには、資産形成を行っていくことになりますが、資産形成には貯蓄と投資の2つの方法があります。日本の政府は長い間、「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げてきました。そのことは間接金融から直接金融へとも言い換えられます。 直接金融とは、投資家が自らリスクを計算しながら、企業などへの融資をして、資産を運用することを意味します。そして、これは株式や社債などへ直接に資金を提供することで、間接金融よりも高いリターンが期待されます。 現に投資を主流とするアメリカでは、こうしたハイリスク、ハイリターンを取る人が多かったからこそ、新産業や新進気鋭のベンチャー企業が台頭してきたという歴史があります。 そもそも、日本人の2人以上世帯の年代別貯蓄額の平均値を見ると、これは金融広報中央委員会の2019年の資料ですが、以下のようになります。 20歳代165万円、30歳代529万円、40歳代694万円、50歳代1,194万円、60歳代1,635万円、70歳代1,314万円です。 これを参照にしますと、金融資産の実に約7割が50歳以上のシニア世代によって保有されていると分かります。この現象は、高齢化による人口構成の変化と、家計の資産形成の大部分が退職金に依存していたことが主な理由であるとされています。 また、30代から40代においては、勤労所得が主にマイホームや子育て、教育資金として充てられています。だからこそ、教育費用と住宅ローンの支出が終わり、さらに退職金を受け取れる60歳前後になって、やっと金融資産が形成されることになります。 加えて、現在では、人口のおよそ68%が平均寿命として80歳以上に達しています。だとすれば、その方々の死後に財産の相続人となる人々の年齢は、50代後半くらいだと予想することができます。 要するに、長期間にわたって少しずつ資産を形成していくのではなく、退職金や遺産相続、保険の満期金などによって、50代後半から60代にかけての期間に一足飛びに金融資産が形成されるのが、日本における一般的な流れです。 若い頃は住宅費と教育費に追われ、投資などに対する経験が不足したまま50代後半へと歳を重ね、そこでいざ急に金融資産が形成されたとしても、どのように運用をすればよいのか分からずに、むしろ老後のための蓄えを目減りさせたくないと保守的な思想を強め、可能な限りリスクを避けようと行動することは、多くの人にとって自然な流れと言えるでしょう。 リスクを背負った経験がないまま成長した人たちに、いきなり投資しましょうと言っても、その反応は芳しくありません。なぜなら、若い頃と違って、資産の損失を勤労所得で補うことが難しいからです。 家計金融資産の7割近くを保有するシニア世代にリスクを感じさせずに貯蓄から投資への社会へと移行させるには、まず、株式市場の長期的な安定成長が必要になりますが、お金は道具であること、お金は卑しいものと誤解しないこと、お金の正しい増やし方、正しい使い方、年金など国の制度概要を学ぶことはとても重要です。 投資には1つの籠に卵を盛るなという格言があります。資金を1つの資産に集中しないで、複数の種類に分散して投資すれば、リスクが分散され、リターンの安定度が増す効果があります。 また、分散投資の観点からは、投資先の地域を限定することは必ずしも好ましくはなく、国際的な分散投資を進めることで、より安定的に世界経済の成長の果実を得ることが期待できます。 さらに、分散投資には、投資する時期を分ける時間の分散という考え方もあります。資金を適切に分散し、バランスのよい籠の組合せ、ポートフォリオを検討することも大切になります。 以上、金融庁のホームページにある「投資の基本」というところから、長くなりましたけれども、私が学んだことを整理し、発言させていただきましたが、子どもへのお金の教育が必要になっている理由として、次のようなものが挙げられます。 将来、1番目に大人になった際の家計管理や資産形成に役立つ。2番目に、税金や社会保障制度など、世の中の仕組みの理解につながる。3番目に、自立した力が身につく。 金融教育が十分に行われなかった場合、金銭感覚が養われず、無駄遣いが増える。2番目に、お金の適切な使い方が養われず、必要なときに必要なお金を使うことができなくなる。3番目に、収入と収支のバランス感覚が培われない。4番目に、老後や将来のために適切な資産形成ができない。 日本の学校においては、お金の教育が不十分であると言われています。実際に、日本銀行の広報活動と金融教育分野での取組は、その中で、学校教育においてもっと積極的にお金に関する教育に取り組んでほしいと感じている人々が57.8%までに上っていることが分かります。 私たちも大人になってから、子どもの頃にこんなことを教えてくれていたらよかったのにと思う機会はよくありますが、子どもにそんな思いをさせないためにも、小学生などのできるだけ早いうちからお金に関する教育を行うことが大切であると考えますが、市のお考えをお伺いさせていただきます。 ○議長(水門義昭君) 田中教育委員会事務局長。   〔教育委員会事務局長田中裕君登壇〕 ◎教育委員会事務局長(田中裕君) 金融教育とは、お金や金融の様々な働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育です。 小中学校では、家庭科や社会科、道徳などにおいて、金銭や金融について学習しています。今年度、金銭教育研究校の指定を受けている小学校では、家計簿の管理について学んだり、貯蓄の大切さなど、自分の将来の生活を設計したりする学習を計画しているところです。研究発表会を通じて、こうした実践を多くの学校で共有してまいります。 また、中学校社会科の授業では、自分たちが投資家になってどの株式を購入、投資するかを考えることを通じて、金融の仕組みや働きについて学習しています。 実際の授業においては、子どもたちが投資家になったつもりで、新聞の株式市況欄を見ながら、利益や損失に一喜一憂しながら、注意すべき点も含めて、お金や金融の仕組みを学んでいるところです。 学校教育の中で貯蓄も投資も学びながら、子どもたちが資産の形成の仕方はいろいろあることを知り、生涯にわたって自分に合った方法を適切に選び、主体的に行動できる態度を養うよう、指導と支援をしてまいります。 ○議長(水門義昭君) 松山議員。 ◆16番(松山篤夫君) 4月11日のある新聞の夕刊に、「お金、使う力、どう養う 電子決済普及、成人年齢引き下げ、広がる小学生向け金融教育」とありますけれども、今、高山市で行われているお金の教育についてお伺いさせていただきましたけれども、ますます、資産形成、お金についての学びが必要だと思います。 私自身もそこが欠けていて、今になって後悔する部分が多々あるんですけれども、こういう時代、状況です。しっかりとしたお金の教育を小学生の頃から教えていただきたいと、改めてお願いしたいと思います。 次に、平和教育についてお伺いさせていただきます。 第2次世界大戦以降、多くの日本人にとって戦争は他人事でした。しかし、ロシアのウクライナへの軍事侵攻は、日本人の戦争観に影響を与えています。 相手が自分と同じ判断基準を持っていると考え、それを根拠に相手の行動を予測するミラー・イメージングは、多くの人が陥りがちなわなとなります。 加えて、人間には正常性バイアス、難しい言葉ですが、自分は大丈夫と思い込む脳の危険なメカニズムのことを正常性バイアスといいますが、それが備わっており、まさかの事態や最悪の事態を考えることが心理的に難しい。 日本人は、東日本大震災という未曽有の大災害を経験し、未知の新型コロナウイルス感染症と闘っていますが、いずれもその発生前の段階では、まさかの事態、あるいは最悪の事態でありました。 日本人は今、最悪の災害や感染症を想定して備える重要性を知っています。ですが、防衛に関しては最悪の事態を想定せず、備えない文化が根強く、侵略を受けて屈した場合には膨大な人命を失い、国の在り方が変わるにもかかわらずであります。ここにも戦争を他人事と考える日本人の戦争観が見え隠れします。 多くのウクライナ人は今、防衛に関する最悪の事態を想定して、備える重要性を身をもって痛感しているように、日本人も防衛面での備えのない文化と決別すべきであると思います。そして、この文化の背景には、最悪の事態を想定して備えると、相手を刺激して本当に最悪の事態を招くという考え方があります。しかし、ウクライナ戦争はこの考え方を否定しています。 まさかの事態や最悪の事態を想定することは、ミラー・イメージングや正常性バイアスを廃することで可能です。しかし、備えることは簡単ではありません。備えには、人、法律、制度、国際関係、武器、物資、資金など、様々な側面がありますが、特に人の備えについて学ぶのは重要であると考えます。 学校教育では防災教育や防災訓練は行われますが、侵略への備えとして必要なスキルを教え、訓練することはありません。ここにも戦争を他人事と考える日本人の戦争観がかいま見えます。人の備えについて学ぶことは大切だと考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。 ○議長(水門義昭君) 中野谷教育長。   〔教育長中野谷康司君登壇〕
    ◎教育長(中野谷康司君) 今回のウクライナの惨劇を、子どもたちはテレビや新聞やインターネットを通じて、それを見聞きすることになりました。そして、見聞きしたウクライナ侵攻という事態を、子どもたちが他人事でなく、自分事として捉えるためには、私は、自ら考える機会を持つことが大切だと考えています。 市内のある小学校では、子どもたちが自分たちでためたアルミ缶回収のお金をウクライナへ募金することを決めました。生徒会が募金活動を始めている市内の中学校もあります。今、戦争が起きているという現実を強く感じている子どもたちが市内にいます。 自ら考える機会を通して、市内のある中学校では、校長が生徒に今ウクライナで起こっていることを決して他人事としてはいけないと、侵攻をどう考えるか自分の考えを聞かせてほしいと訴え、考える機会を設けました。 ほかの学校でも、SDGs16、「平和と公正をすべての人に」をテーマに、人権集会で話し合う機会を企画しています。 まさかの事態に備えるためには、多様な話合いが求められます。社会科の授業では、各国が自国の防衛のために努力を払っていることに気づくとともに、国際情勢の変化の中で、自衛隊が我が国の防衛や国際社会の平和と安全の維持のために果たしている役割を広く考えます。 今後も、平和な世の中を続けていくためには自分には何ができるのかを考えることを通して、自分事として捉える感覚を高めてほしいと願っています。 ○議長(水門義昭君) 松山議員。 ◆16番(松山篤夫君) 御答弁いただきましたが、2月19日ですが、ポーランドの知識人たちがウクライナとの連帯とロシアの侵攻阻止を求めるアピールを発表しました。 そこで言われているのは、戦争反対だけでなく、今、脅威にさらされているのが自由、表現、言論、報道、学問の自由であり、その土台であるのが基本的人権です。ロシアではジャーナリストが拘束され、殺されました。それは言論統制や思想弾圧である以上に、表現する者の存在を抹殺するという脅威です。 ウクライナ人の多くは、甚大な人的犠牲にもかかわらず戦い続けています。多くの人がロシアへの降伏が自由と独立の喪失並びに戦いが終わった後の苛酷な弾圧を意味すると知っているからです。ロシアでは虚偽情報を禁じる新しい法律がつくられて、戦争を戦争と言ってはいけなくなりました。 ウクライナと日本は原発事故という共通の問題も抱えています。福島の事故の後、ウクライナの人たちに日本は助けてもらっています。原発事故からの復興を目指し、研究者や住民が手を取り合い、交流を重ねてきました。福島県内にもウクライナに住む家族や友人の無事を願う人たちがいます。 今回、その原発も戦場になってしまって、仮にこの戦争がなくなっても、原発の後始末には気が遠くなるような歳月がこれからもまだまだ続くわけです。 そういう意味でも他人事ではありません。いつそうなるか分からない自分事として、しっかりとした教育を引き続きお願いしたいと思います。 次の質問に入ります。 荒廃農地の最適土地利用対策についてお伺いいたします。 農水省が令和2年に行ったアンケート調査によりますと、高齢化などで離農する農家の農地に対して、地域の担い手だけで受入れが限界と見る市町村が8割を上回りました。このように、経営規模の大きい担い手だけでは農地を引き受けられなくなっている現状を受け、農水省は人・農地プランの見直しを始めました。 今開かれている国会で、人と農地に関わる2つの法律が審議され、了承されました。1つは人・農地プランの法定化で、もう一つは地域ぐるみの遊休農地保全事業を進めやすくするための法改正です。 背景にあるのは、農村の高齢化と人口減少です。守るべき農地と守り切れない農地を明確にした上、それぞれを維持管理する体制を地域の中でつくり上げていくことが目的の法改正です。 田畑に次々と作物が植え付けられる季節ですが、使う予定のない農地のことが気になっている方がおられます。特に中山間地域で暮らす人には、年を取ったり勤めがあったりで、手が回らなくなった田んぼや畑があり、米を作ることはできなくなったけど、草刈りするだけで放っておくのは忍びない。何か手のかからない利用法はないものか。使い切れない農地は守り切れない農地と同義です。 農家もJAも役所の担当者の方もみんなで耕作放棄地を減らそうと懸命に頑張っておられますが、しかし、労力不足はいかんともし難く、そこは使い切れないと認めた上で、手をかけずに利用する方法へ発想を広げると、やれることはまだいろいろあるのではないでしょうか。 昨年6月、農水省の長期的な土地利用の在り方に関する検討会は、農村の高齢化や人口減少で使い切れなくなっている農地を粗放的な農業生産に利用することや、植林によって非農地化する方向性を示しました。それを受け、2022年度予算では、最適土地利用対策農地を粗放的農業に利用する場合だけでなく、非農地化して植林することにも使えるようになりました。 最適土地利用対策とは、農山漁村振興交付金のサービスの一部なんですが、農地の土地利用を応援するもので、市町村が参画した地域の話合いに基づいて、荒廃農地もしくはそのおそれのある農地の有効利用、維持に取り組むモデル的な活動を支援するもので、簡易な基盤整備のほか、放牧、蜜源作物の作付などの粗放的な農業、そして、2番目に、非農地化した土地に植林して維持するなどの活動が対象になります。大きく分けて2つの事案から成り、その事業に給付を充てることができます。 使い切れない農地は個人よりも組織、グループのほうが利用しやすく、農業生産を主目的にした集約的な農地の使い方から、農家も非農家も若い人も高齢者も障がい者も参加できる粗放的な使い方へと、そういう流れです。今の時代に求められている新しい農地の利用法は、使い切れない農地を現代版入会地のように捉えてはどうでしょうか。 地域再生の活力源とするために、使い切れない農地をどのように利用して生かすのか。各地の事例としては、ドクダミ、桑、ススキ、エゴマ、キクイモ、クヌギ、クロモジ、ヨモギ、エゴマ、ラッキョウ、漆、ナツメ、トチノキ、クルミ、面白いのはムツニシキという昔の品種を使った自然栽培にもあります。 この5月28日に赤保木で漆の苗を植えるイベント、飛騨漆の森 復活植樹祭が開かれ、100本の漆の苗が植えられました。地元の木工製品や民芸品に飛騨産の漆が使えるようにしようと企画されたもので、今後は毎年400本の苗を15年かけて植え続ける計画で、同プロジェクトでは苗を植える土地を募っているとのことです。荒廃農地の最適土地利用として、漆の植栽を進める好機ではないかとも思います。 市は、粗放栽培としてどのような品目が有望であると考えているのか。漆などの植栽、植林も含め、市の考えをお伺いいたします。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 荒廃農地、遊休農地への粗放栽培を試みたい品目との御質問ですが、市内における粗放的な利用として、議員もいろいろと仰せになられましたが、エゴマや雑穀、牧草の栽培、また、保全すべき農地周辺部においては、土産品の材料となるトチやクルミ、漆などの樹木や、獣害に対する緩衝帯機能を備えた植林など、いろいろと考えられますが、まずは地域ぐるみの話合いを通じて将来への土地利用に対する合意形成が図られ、地域が望む、その地域の気候や土壌など、風土に合った品目が栽培されることが望ましいと考えております。 ○議長(水門義昭君) 松山議員。 ◆16番(松山篤夫君) 人手やお金をそれほどかけなくても始められる品目、やり方や、獣害に強いのも大事なポイントになるのではないかと思います。 私は漆の植栽を積極的に進めていただいて、粗放的な農地利用をぜひ進めていって、適地を探し、積極的なサポートをお願いしたいと思います。 次の質問に移ります。 市における2020年度産主食米の作付面積の意向と転作動向についてお伺いいたします。 農林水産省は22年度産の主食用米の作付面積について、37道府県が前年実績から減らす意向だとする4月末時点の調査結果を発表しました。 新型コロナウイルス禍で外食を中心に米消費が減少し、世界的な穀物価格の高騰で主食用米以外の生産が有利になったことなどから、飼料用米や麦、大豆などへの転換が進む見通しで、ロシアのウクライナ侵攻に伴い穀物価格は上昇の一途をたどっており、転作が今後も加速する可能性があり、1月末時点に行われた前回調査の22道府県から37道府県へと大幅に拡大しています。 農水省は、「麦や大豆は国際価格高騰に加え、もともと国産のニーズも高く、切り替える農家が増えている」と分析しました。主食用米の増加を希望する都道府県はなく、前年並みが10都県で、岐阜県も前年並みの作付面積意向です。 農水省は今回の調査結果を基に、22年産の需要に見合った675万トンに生産量を収めるには、さらに0.4万ヘクタールの作付転換が必要だとして、引き続き転作を呼びかけるとしています。 政府は主食用米からの転作を促すため、水田活用の直接支払交付金を活用します。 農水省の試算によりますと、交付金を含めた農家の所得は、主食用米が10アール当たり1万3,000円なのに対して、飼料用米が2万6,000円、小麦が4万8,000円、大豆が4万9,000円と、転換しやすい環境を整えています。 高山市の2020年度産主食米の作付面積意向と、転作動向について、現況をお伺いいたします。 ○議長(水門義昭君) 松山議員、今の発言の中で2020年度産の主食米というふうに発言されましたが、2022年度産の主食米でいいんですね。 ◆16番(松山篤夫君) そうです。 ○議長(水門義昭君) 22年ですね。 ◆16番(松山篤夫君) そうです。失礼しました。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 最初に、主食用米についてですが、令和4年産の高山市食用米の県が示した生産目標は、面積換算で1,640.2ヘクタールに対し、作付面積は1,620.4ヘクタールとなる予定で、目標面積以内の作付となる見込みです。また、令和3年産は、面積換算で1,694.4ヘクタールに対し、作付は1,639.9ヘクタールで、こちらも目標面積以内の作付となったところです。 次に、飼料用米や麦、大豆の作付については、飼料用米は、令和4年産が79.7ヘクタールに対し、令和3年産は76.3ヘクタール、通称WCS用稲といいます稲発酵粗飼料は、令和4年産が54.5ヘクタールに対し、令和3年産は46.8ヘクタールと、前年より作付は増加する見込みです。 また、麦は、令和4年産19.1ヘクタールに対し、令和3年産は20.7ヘクタールと、前年度より少し減少しています。 大豆は、令和4年産が5.5ヘクタールに対し、令和3年産は5.1ヘクタールと、少し増加となる見込みです。 国では、議員も仰せになりましたが、主食用米からの転換を図るため、交付金を交付していますが、市では、小麦や大豆に関しては、飛騨の土壌や気候では栽培しにくいということがございます。 また、飛騨コシヒカリに関しましては、これまでの全国的な米のコンクールで優秀な成績を収めるなど、令和2年作、令和3年作と在庫になることなく販売をされており、現状では、米以外の作物への転換は大きく進んでいないのが現状です。 しかしながら、昨今の飼料価格の高騰を踏まえ、自給飼料の作付増加は喫緊の課題であり、耕種農家と畜産農家のマッチングなど、耕畜連携の取組を進めていく必要があると考えております。 ○議長(水門義昭君) 松山議員。 ◆16番(松山篤夫君) 次の質問に入らせていただきます。 肥料原料価格等の値上げによる農業経営への影響についてお伺いさせていただきます。 日本農業法人協会は、5月31日にウクライナ情勢や円安などによる物価高騰の影響に関するアンケート結果を公表しました。ほとんどの農業法人は肥料や燃料が値上がりしたと答えた一方、それを農産物の農業価格に転嫁できていないとの回答が7割以上に及びました。 肥料価格をめぐっては、JA全農が地方組織に6月から10月に販売する肥料を、前年に比べ最大94%値上げすると発表しました。価格の押し上げ要因として、ウクライナ情勢や原油高騰に伴う肥料原料価格や輸送費の値上がり、円安進行が挙げられ、農家への影響が出始めています。 コスト増を農産物の価格に転嫁できていない理由として、「農業者側の価格交渉力が弱い」が、先ほどのアンケート調査によると最も多いとのことですが、肥料高騰等による農家の負担増を緩和する支援策が必要であると考えますが、市の状況把握と対応策についてお伺いさせていただきます。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 農業用の肥料価格は、世界的な穀物相場の上昇や、それから好調な需要が続く中、中国の輸出規制、ロシアのウクライナ侵攻などにより、世界有数の肥料産出国からの輸出停滞、それから海上運賃の上昇や円安基調等の様々な要因が重なり、JA全農によると、史上最高値で原料価格が上昇しているということです。 こうした現状価格の高騰により、少なくとも令和5年作に向けた肥料購入価格は上昇し、次期作に向けた農業経営への打撃が大きくなると懸念をしております。 また、先ほど議員も言われましたが、農産物の多くは価格が市場で決まるため、資材の高騰を価格に転嫁することができていないというのが状況です。 市ではこうした状況を踏まえ、肥料を始めとする農業資材の高騰が農業経営の圧迫につながると考え、今後は、肥料など納入業者や農家にも聞き取りを進めるとともに、国や県の動向も注視しつつ、市としてできることを検討してまいります。 ○議長(水門義昭君) 松山議員。 ◆16番(松山篤夫君) 先ほどの主食米の作付面積のことについて質問させていただきましたときに、やはり米農家の経営を安定させるためには、常に販路の拡大ということを心に留めていただきまして、インターネット、様々を通じ、地元、県内、あるいは海外に輸出といったようなマーケットの拡大に常に努力していただきたいと思います。 そして、今、農業資材の高騰が農業経営の圧迫にまさにつながっています。いろいろ国や県もそれぞれ補助策を考えているようですが、市としてもどうかこの厳しい状況下にある農家への強い支援をお願いして、私の一般質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。 ○議長(水門義昭君) 以上をもって、松山議員の質問を終わります。  ―――――――――――――――― ○議長(水門義昭君) 休憩します。     午前10時25分休憩  ――――――――○――――――――     午前10時35分再開 ○議長(水門義昭君) 休憩を解いて一般質問を続けます。  ―――――――――――――――― ○議長(水門義昭君) 次に、車戸議員。   〔18番車戸明良君登壇〕 ◆18番(車戸明良君) それでは、まず最初に、一言申し上げます。 最初に、今議会の冒頭に、國島市長の不出馬の正式表明がありました。国内屈指の国際観光都市に押し上げるなど、数々の評価はいろいろな紙面で御紹介をされているとおりであります。 特に私が感じますことは、市政が市民の皆さんに近くなったことだと思います。国内外はもちろん、広い高山市において小まめに出向いて、最初に立候補されたときの言葉どおり、365日24時間休まず全身全霊で取り組むという姿勢の表れと高く評価するものであります。 残り3か月間、まだコロナ禍ではございますが、ようやく光が見え始めてきている部分もある中、将来に向けて、さらなる市政運営を望むものであります。 それでは、通告に基づきまして、3項目、一般質問をさせていただきます。 最初は、松本高山Big Bridge構想についてであります。 実は、5月の観光協会の総会において、Big Bridge構想が、このプロジェクトが始まりますよ、動き出しますよという話をしました。 ところが、終わって外へ出ていくと、ある方から、おい、乗鞍や平湯の辺にどんな大きい橋が架かるんやとか、もう一人の人は、朴の木大橋より大きいんやろうなというような話が出てきましたのでびっくりしました。 北アルプス南部地域の在り方を検討する中部山岳国立公園南部地域利用推進協議会で観光面での活性化を求める声が浮上し、昨年4月にプロジェクトチームが発足しています。高山、松本にまたがる北アルプスを一大観光圏としてPRするための取組が始まってきています。 そこでお聞きいたします。 国内屈指の国際観光都市である高山市と国宝の松本城、開智学校のある松本市を両端として、その間に国立公園の核心部である山岳と山麓があるこの地域をBig Bridgeと名づけて、地域資源を最大限に利用しまして、上質で多様な利用と滞在を提供することで、世界有数のナショナルパークのように自然を主とした観光地となり、世界水準のデスティネーションの実現を目指すとしています。 デスティネーション、旅行地、旅行先、旅行目的地ですが、これを世界水準に上げようという構想であります。でも、世界水準とはどのように捉えて、この構想を練ってみえるのかをお聞きいたします。   〔18番車戸明良君質問席へ移動〕 ○議長(水門義昭君) 國島市長。   〔市長國島芳明君登壇〕 ◎市長(國島芳明君) 昨日、ウルトラマラソンがございまして、応援をし過ぎまして声が潰れております。お聞き苦しいところ、まずもってお断りを申し上げたいと思います。 今お話しになりましたように、松本高山Big Bridge構想であります。 Big Bridgeというのは、大きな橋という意味でありますけれども、松本と高山をあたかも大きな橋が架かったように自由に皆さん方が、そしていろいろな方面に足を延ばしていただきながら、交流をしていただくという意味で、Big Bridgeという名前がついております。大きな橋を架けるということでございます。 御案内のように、松本と高山は昔から筑摩県で一緒になっていたりとか、あるいは市制の姉妹都市をしてもう50年たっているとか、大変強いつながりがありますし、お話にありました中部山岳国立公園を両方で分けているというような関係もあるものですから、その意味において、松本と高山が手を組めば、大変広域的な観光資源が1つ生まれるんじゃないかという、そういう、まず、発想がありましたということでございます。 お尋ねの世界水準とは、じゃ、何なのかということでございますけれども、これは例えば施設だとか、あるいはホスピタリティーだとか、あるいは交通体系、通信体系、ありとあらゆるそういう旅人を囲む環境が、1週間程度そこに滞在していても十分満足できるような環境というのが、世界水準というような基準で示させていただいております。 例を挙げれば、例えばスイスのツェルマットだとか、あるいはカナダのバンフだとかというようなところが1つの例にもなってきますし、我々もそこのところを目指してというような基準でございます。 この構想そのものは、松本と高山だけがやっているということではなしに、岐阜県と長野県も一緒になっていますし、それに環境省とか、観光庁とか、あるいは林野庁とか、いわゆる国の機関も一緒になって、中部山岳国立公園を活用した新たな世界に向けたリゾート地をつくっていきたいという、そういう大きな構想でございまして、去年からプロジェクトを、お互いに職員を出し合って、中身を詰めてきたところでございます。 2つの意味を持っておりまして、1つはビジョンと、それからもう一つはストーリーであります。 ビジョンというのは、その大きな構想を達成していくために、地域に関わる全ての人が共有すべき未来像、これをまずまとめました。それは新しい発見や体験をしたい、驚きに出会いたい、そういう探究心がある、そんな旅人が通りたくなるような、そういうツーリズムのルートをつくろうというのが、これがビジョンでございます。 それを具体的にどう動かしていくかということでストーリーをつくりまして、これは2,400メートルもあるその標高、その地域を旅する人たちが山や自然や人や文化などを学べるような、そんな物語をつくっていきたいよねというのが1つストーリーで、このビジョンとストーリーを重ね合わせてこの構想をやっていきたい。 誰がやっていくのかとなれば、松本と高山という県を超えたその地域で1つのDMOをつくらせていただいて、そのDMOのいわゆる経営力によりながら、地域全体でその構想を持っていって、世界に訴えていこうというのが概要でございます。よろしくお願いいたします。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 市長から答弁をいただきました。 なかなかうまく私も説明できんものですから、この前のように大きな橋というふうに勘違いされたところは、やはり今聞いて、もう一回、市民の皆さんに伝えたいなというふうに思っております。 それでは、少し突っ込んで聞きます。 今答弁いただきました中から、じゃ、この地域に呼び込む、最初の対象とする誘客ターゲットはどうなのか。また、今のビジョン、ストーリーを具現化する方策については、どのような考え方で取り組んでいくのか。この2点についてお伺いいたします。 ○議長(水門義昭君) 清水飛騨高山プロモーション戦略部長。   〔飛騨高山プロモーション戦略部長清水雅博君登壇〕 ◎飛騨高山プロモーション戦略部長(清水雅博君) ターゲットの設定につきましては、コロナ社会における旅行、観光に対する価値観の変化が出てきております。そういったことや、国内外の旅行マーケットの動向を踏まえまして、あるいは、環境配慮への関心の高さやコロナ後の市場回復の早さなども勘案しながら、設定をさせていただいております。 国外におきましては、アクティブなアウトドア体験を好む欧米層、国内においては、健康志向が高い都市圏在住女性層というふうに具体的に示させていただいております。最初に、こうした層をターゲットといたしまして、飛騨高山Big Bridge構想実現プロジェクト基本計画に定めて、推進をしようとしているところであります。 また、松本高山Big Bridge構想を具現化する方策といたしましては、4つの原則を設けております。それは、松本から高山を横断すること、そして、2つ目といたしましては、山岳と高原と街を満遍なく移動すること、そして、1週間以上滞在すること、そして、環境配慮が感じられること、この4つの原則を基にモデルルートを開発いたしまして、国内外メディアへのプロモーションを始め、インフルエンサーの招聘、SNSによるPR等を実施するなど、ターゲット層に対しまして、より効果的なアプローチを行っていきたいと考えております。 失礼いたしました。先ほど飛騨高山Big Bridge構想と申し上げたようです。松本高山Big Bridge構想でありますので、訂正をさせていただきます。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 答弁をいただきました。 もう少し聞かせてください。 まず、最後のほうにモデルルートということが出てきましたが、1週間以上も滞在するモデルルートは、先般のプロジェクトチームの会合で、どんな想定や考えが示されてきたのか。 次に、誘客ターゲットについてほぼ分かりましたが、よく考えてみれば、国内は若い女性の層を狙うのかなと思ったり、欧米の方はやはり野外活動したりトレッキングしたりと、そういう方を狙うのかなというふうに分かってきましたが、もう少し補足があれば、お答えください。 最後に、アプローチをすると、インフルエンサーというとちょっと難しいんですが、恐らくユーチューバーみたいな人かなと直感的に思いましたが、そういうような人、すごい高度のアプローチをするのかなということもありますが、この辺も聞きたいと思いますし、それから、これ、じゃ、どこが、松本と高山市がお互いにやるのか、先ほど市長から答弁がありましたように、DMOが主体的にかじをつけるのか。DMOというのは、このエリアにある観光支援に精通して、地域と協働して観光づくりのかじを取る観光地域法人とされていますので、ここがかじを取って、エンジンを取ってやるのかなというところが決定しておれば、もう少し教えていただきたいなというふうに思います。 ○議長(水門義昭君) 清水飛騨高山プロモーション戦略部長。   〔飛騨高山プロモーション戦略部長清水雅博君登壇〕 ◎飛騨高山プロモーション戦略部長(清水雅博君) 幾つかの御質問をいただきました。 まず、モデルルートであります。 こちらはまだ開発、造成をしておる段階ということになりますけれども、先ほど来申し上げているとおり、1週間以上の滞在をエリアでしていくということで、その具体的なモデルルートを開発しようとしております。 今考えられておりますのは、高山-松本間には、多くの観光資源があります。乗鞍岳もそうですし、奥飛騨側でいえば新穂高、平湯、そのほかの温泉郷があります。松本側にも上高地がありますし、白骨温泉、沢渡、たくさんの観光資源があります。 それらを単純に、例えばバスで平湯バスセンターへ行って、そして沢度まで行ってということではなくて、例えば、e-バイクを使ったり、例えば、ロングトレイルをしたり、移動手段も様々にモデルルートを構築しようとしておるところであります。 先ほどのターゲットということですけれども、ターゲットにつきましても、今、基本計画の中では策定をさせていただきました。都市部の若い女性ということは、情報収集力でありますとか、あるいは逆に、情報を発信する能力のある層ということで、そこの都市部の女性層ということで、20代から30代というような若い方を主なターゲットとすることを、今議論して定めたところであります。 言葉のほうがいろいろと横文字が多くて大変恐縮なんですけれども、インフルエンサー、議員さん御案内のとおり、今、若い層は特に、テレビじゃなくて、ユーチューブを御覧になる方が多いというふうに認識しておりますけれども、例えば、ユーチューブで発信するために、影響力のあるフォロワーの多いインフルエンサーを通じて、世界に向けて発信していくようなことを考えておるところですし、アプローチというのは仕掛けのさまといいますか、そういったふうで使わせてもらっているところであります。 今後の推進体制につきましては、先ほど市長のほうからもDMOの設立を新たに目指していくということで、今、松本市役所とは毎月定例的にミーティングを行っております。さらには、観光事業者さん、交通事業者さん、関係の事業者さんも巻き込んで、今後どうあるべきかということで議論を重ねております。 もう少し概要がはっきりしたところでお話しできるかと思うんですが、今は現状、そういったことで、推進体制については鋭意、組織体制の編成に向かって議論を重ねていると、そういった段階でございます。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 答弁いただきました。ぜひとも着々とやってほしいなと思います。 それじゃ、もう少しまた突っ込みまして、次の質問に入ります。 このエリアには誇るべき地域資源というのはたくさんあります。これをどう磨き上げるかが今の、市長が最初申された構想に近づくのかなと思っています。そのことと、ちょっと高山市側からスポットを当ててみますと、世界的に見ると、都市部から、すなわち高山市から比較的近い距離に急峻な山岳地域が位置していることが特徴の1つだというふうに言われています。その核心部の1つである乗鞍岳周辺が注目されていますが、その中で、魅力アップや、玄関口である乗鞍バスターミナル、それからトイレの関係、周辺にも施設が幾つかありますが、これらの上質化というのは非常に大切じゃないかと考えられます。これに対しての市の今の考えやら、取組の方向性についてお尋ねいたします。 ○議長(水門義昭君) 清水飛騨高山プロモーション戦略部長。   〔飛騨高山プロモーション戦略部長清水雅博君登壇〕 ◎飛騨高山プロモーション戦略部長(清水雅博君) 松本高山Big Bridge構想を進める中で、世界水準のナショナルパークを目指していくためには、乗鞍岳周辺の上質化に向けた取組は大変重要であると捉えております。 高山市では公共施設等総合管理計画においてお示しをしておりますけれども、乗鞍バスターミナルにつきましては、乗鞍岳全体の利活用を検討する中で、施設の在り方についても検討することとしており、国や県、周辺施設を所有する民間事業者等とも連携を図りつつ、乗鞍岳を始めとする山岳観光の玄関口として、魅力ある観光エリアとなるよう取り組んでまいります。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) もう少し私、突っ込んで聞きますが、こういうことがあるんじゃないかと思っております。 地域資源を磨くと言いますが、単純的には、高山祭、古い町並、ちょっと行って乗鞍、それを越えると上高地、松本城というふうに、このように競争力が高いものがあります。 ところが、逆に、ライチョウとか、奥飛騨温泉郷とか、一刀彫とか、ご来光バスとか、飛騨の匠というのは、もう少し何か付加価値をつけるか認知されれば、すごい国際的にも競争力が高まるんじゃないかということを私は考えられると思います。 この辺をどうグレードアップするかも今後の課題かなというふうに捉えていますが、よくよく調べてみますと、環境省はここ3回にわたって、国立・国定公園の利用拠点を活用した自然体験プログラム推進事業というのを行っておりまして、今回は上限400万円を全部交付しますが、400万円でいろいろなツアーをやってください、体験ツアーをやってくださいよ、支援を使ってくださいよというのがあります。 今回は今年の6月2日にたしか採択が決定されております。高山、もう7件の方が、団体といいますか、会社がそれを受けてみえますが、それを調べてみますと、乗鞍ライチョウルート魅力発見ツアーとか、乗鞍岳登山道路整備ツアーというように、そこの資源を生かしながら、体験をしながら、そして魅力を感じてもらう。 例えば、乗鞍岳の登山道路整備ツアーは、登山道を自分たちで整備しながら、汗をかいて、そして体験しながら、大分行ったちょうどの辺で、今度は講師の先生が登山ってこういうものだよ、魅力ってこういうものだよといってまた講義を受けて、また帰りながらそうして、時にはドクターが高山の、上がったときの病気は危ないですよとか、こういうのがいいですよとなることのまた講義も受けたりするような独特のツアーだと私は見ていました。 このようなツアーを毎年、環境省はいろいろ発信してみえますので、こういうのも地域の資源を磨き上げるために活用するようなことを、高山市も後方支援とか周知なんかされたらどうかなということを思うことと、もう一つは、施設の常設化について大変多額な金額がかかって、コロナで経済が冷え込んでおる中、なかなか厳しいものやなと私は思っております。 ところが、観光庁の事業の中に、地域と一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業というのがありまして、施設の上質化、例えば、個室に露天風呂をつけるとか、そういう事業ですが、上質化を含め、改修ができますよという事業があります。3分の2補助で1億円が観光庁から交付されて、事業ができるというのがあります。 ただ、これには高山市と共に地域計画の作成が必要になってきますね。ここの辺を高山市がしっかりフォローしていただくとか、一緒になってやるということが私は今後の課題かなと思っていますが、これ、ちょっと動きがあったような気がしますが、もしあったら教えてください。奥飛騨温泉郷で動きがあったというふうに聞いておりました。 また、今の畳平の施設ももう既に上質化をしないかんという話があちこちに今上がってきている状況ですので、どうかこの構想の推進のために力を入れている環境省、観光庁のこの推進支援メニューも十分活用することが大事かなというふうに捉えておりますが、この辺、どのようにプロモーション部長としては周知したり、後方支援したり、推進していくか、もし今のお考えがありましたら、御答弁いただければいいと思いますが、よろしくお願いします。 ○議長(水門義昭君) 清水飛騨高山プロモーション戦略部長。   〔飛騨高山プロモーション戦略部長清水雅博君登壇〕 ◎飛騨高山プロモーション戦略部長(清水雅博君) 今、様々なこれからの具体的な推進に当たっての御質問をいただきました。 今、コロナになりましてから、そしてアフターコロナに向けて、このコロナの間に様々な受入環境整備を行おうということで、国のほうから様々な補助事業のメニューが出ております。 今言われました、まず、地域と一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業でありますけれども、こちらの事業概要につきましては、今、議員さん申されたとおりなんですけれども、平湯地域のほうで5月の中旬の締切りに間に合わせて、申請のほうをさせていただいております。こちらにつきましてはまだ採択の結果が出ていないという状況であります。 あるいは、乗鞍岳の今後の推進に当たって、様々な御示唆をいただきました。こちらも環境省の補助事業、国立公園の地域資源を発掘する補助事業がございますけれども、議員さんがおっしゃられたように、高山市内で7つ、中部山岳国立公園エリアで20の事業が採択されたということで、全国では143の事業が採択されたというふうに認識しておりますけれども、その中で中部山岳国立公園は際立って多いと。34の国立公園がありますけれども、中部山岳国立公園でそのうちの20採択されたということで、長野県側とも連携を取り合いながら、こうした民間が進める事業を国の事業とつなぎ合わせて、具体的な推進を図ろうとしております。 ライチョウルートということで、昨年は乗鞍スカイラインと松本側のエコーライン、こちらを一気通貫の名称としてライチョウルートというふうで、国内外に発信をさせていただきました。ライチョウルートを使った歩くツアーですとか、あるいは、乗鞍岳の朝日、夜空、夕日、こういったものを発信しようと、プロのカメラマンを全国から集めて撮影会をするような、そういったことも民間のほうで企画されているというふうに認識しております。 いずれにいたしましても、具体的な事業を推進するに当たっては、市だけではなくて、行政だけではなくて、民間の事業者さんと一体となって取り組むことが必要となっておりますので、我々としては、国の情報を収集し、それを提供し、また、その申請に当たっての手続等を支援していけたらというふうに考えております。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 今回のコースはなかなか我々市民も期待が大きいものですから、いろいろ最後まで、今回は質問させていただきました。 それでは、この質問の最後に、外国人の観光客の受入れも始まろうとしていますが、世界的な山岳観光都市の実現に向けて、今後、どういう方針で推進していくのか、そして、まず、今年度は何を取り組むのかをお聞きしたいものであります。 令和4年度の予算の中でも、松本高山Big Bridge構想に積極的に取り組むというふうに市長のほうからお話がされております。どんな姿を描き、どう展開していくべきなのか、これについてお聞きしたいと思います。 ○議長(水門義昭君) 國島市長。   〔市長國島芳明君登壇〕 ◎市長(國島芳明君) 先ほどビジョンとストーリーというお話をさせていただきましたけれども、もう一つ大きな目的がございまして、これも2つございます。 1つは、これまで、やはり山岳観光というようなところが大きく捉えられてこなかった。山岳というと、アルピニストとよく言われますけれども、登山家の専門的な人たちの活動する場所というようなふうに捉えられていたのを、広く、普通、普通のという言い方ではないですけど、普通の国民の皆さん方が手軽に活用できるような場に広げていくというような1つの大きな柱がございます。それをもってリゾート地を形成していくということでございますが、もう一つは、持続可能な地域をつくり上げていくという意味で、例えば、ゼロカーボンパークといいますか、要するに脱炭素のエリアをしっかりと国内に築き上げていくと。それが大きなもう一つの目的になっています。 その意味で、中部山岳国立公園を分ける高山市と松本市が協力して、ここの部分に世界的なナショナルパークをつくっていこうという、そういう柱でありますので、そのために推進母体をつくっていかなきゃいけない。 それを、いわゆる県を超えた、あるいは市域を超えたDMOにして、再編・築してやっていこうという、推進母体をつくろうというのが目的であります。それを今年中には何とか設立していきたいということであります。 国の大きな方針は、2025年度までに、今ほど来、るる私たちが申し上げてきた基礎計画といいますか、方向性を具体化して、実施して、そのときには多分、世界からお客様がお越しになれるような環境に戻っているだろうから、そこのときに合わせてスタートできるような、そういう、今、タイムスケジュールで動いております。 取りあえず、今年はそういう中心母体になるDMOの設立というところの準備を進めております。並行して、2023年、24年、2025年には何をしたらいいかというようなところをプロジェクトチームのほうが今積み重ねているという状況でございますので、また来年度予算というところに、多分、そこら辺のところが反映されてくるのではないかと、そういうふうに私どもは今、スケジュール観を持って考えております。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 答弁いただきました。ぜひとも着実に、2025年にはぱっと花が開くような事業形態にしていただきたいなと思います。 私が思うに、今、円安ということもありますが、わざわざ海外へ行って、体験して、満喫しなくても、このBig Bridgeエリアに来れば、海外に行ったと同じような、また、それ以上の体験とか、いろいろなことで自分が満喫できて、社会にも貢献できるようなエリアになれば、すごいなと。 海外だけではなくて日本人がここへ、海外旅行へ行くよりここの、海外旅行へ行った次にここへ行ったらいいんじゃないかというようなエリアを目指せれば、大変うれしいなと思っていますが、ぜひともそれぞれ協働し合って、推進をいただきたいというふうに思います。 それでは、次の質問に入ります。 農山村の集落の暮らしと活力についてを質問いたします。 まず最初に、農山村、支所地域にたくさんありますが、支所地域の農山村集落は、人口減少や高齢化の傾向が進んでおります。その状況はどう捉えてみえるのか。また、今後、ここに、自分のところに、住み慣れた地域で生活を続けていくための課題をどう捉えてみえますか。特にお聞きしたいのは高根地域の現状、そして、取り組まなければならない課題と対応、どのように今進んでいるかをお聞きいたします。 ○議長(水門義昭君) 松井総括支所長。   〔総括支所長松井文彦君登壇〕 ◎総括支所長(松井文彦君) 私からは、支所全体の回答をさせていただきます。 令和4年4月1日の人口を合併直後の平成17年4月1日と比較いたしますと、荘川地域でマイナス25.1%、朝日地域でマイナス27.8%、上宝地域でマイナス29.6%となっております。 また、農山村集落では世帯数の減少に比べ、人口減少が大きくなっておりまして、若者の流出などによる地域の高齢化率も高く、荘川地域で42.9%、朝日地域で42.3%、上宝地域で41.3%となっております。 住み慣れた地域で生活を続けていくための課題といたしまして、地域によりその程度などは違いますが、地域の高齢化、人口減による祭礼行事や町内の行事の継続、地域での支え合いが困難になるなど、集落の維持そのものが難しくなっている地域もあります。 また、車を運転できる方がいない世帯が、例えば、清見地域では9件、荘川地域で34件あるなど、公共交通機関などの利用が難しい地域などにおいて、通院や買物などの困難問題も出てきております。 今後、地域にあるスーパーマーケットや商店が閉店になれば、さらなる対策が必要になる可能性があります。 現在、全支所長による検討会議、支所長会では、それぞれの地域の課題について共有し、研究を行っているところでございます。 ○議長(水門義昭君) 尾前高根支所長。   〔高根支所長尾前隆治君登壇〕 ◎高根支所長(尾前隆治君) 高根地域の現状と課題、対応についてお答えいたします。 高根地域は、令和4年4月1日現在の人口が283人、65歳以上は193人と高齢化率は68.2%となっており、他の地域より人口減少や高齢化が進行している現状にあります。 町内会の中には世帯数が1桁となっているところがあるなど、今後、人口減少や高齢化により、地域のコミュニティ維持、共助が困難となってくるおそれや、移動困難者の増加、農業の後継者や地域の様々な行事等の担い手不足などの課題が考えられます。 また、その中でも、Aコープが閉店の方向で検討されており、買物等をするのに地域外に行かなければならなくなることから、地域住民の方の移動や買物をどうするのかということが直近の重要な課題であると捉えております。 こうした課題の対応のため、まちづくりの会を中心とした地域との協働、連携に加え、地域外へ転居及び転出した方々や高根地域にゆかりのある方々、高地トレーニングエリア利用などを通じた関係人口の力もお借りしながら、高齢者を始め地域住民が安心して生活ができる環境の維持に、地域一体となり取り組んでいるところです。 特に重要な課題と捉えている買物等の支援や移動手段の維持・確保については、公共交通機関の利用促進や、たかね号のダイヤ改正、また、食料品の宅配利用ができるようなサポート体制等の検討を行っているところでございます。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 答弁いただきました。 大変厳しい状況だと私、捉えていますが、今の御答弁をいただいたことを踏まえて、次の質問に入ります。 次の質問は、今の課題、対応策について、農水省が出している、農水省からの1つの制度を活用したら、多少なりというか、かなりサポートできるんじゃないかということの観点から質問するものであります。 高山市は、農地が狭かったり、ぼたがたくさんあったり、傾斜がある。農水省はそういう地域について営農をしてもらうには、管理するのを支援する。農地を維持する。そのため、交付金を払って制度をつくっている。それが中山間地域等直接支払制度であります。この制度に参加している集落に、今度、新しい制度をつくっていこうというのが趣旨です。このことは3月議会で松山議員も取り上げてみえます。 質問に入ります。 農山村集落で暮らし続けるために生かせるよう、中山間地域等直接支払制度の第5期対策から新設されております集落機能強化加算は、高齢者の見回りや送迎、買物支援、雪下ろしや除雪など、今までは営農しか使えなかったんですが、営農以外に関するものを対象としているのが特徴であります。地域の困り事解決にこの制度を生かせると考えますが、この制度の経緯、そして高山市の対象地域や想定される交付金の額は、どのように捉えてみえるんでしょうか。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) ただいまの中山間地域等直接支払制度は、農業の生産条件が不利な地域における生産活動などを支援することで、営農継続や農地の多面的機能の確保を図るための施策として、平成12年度から実施されております。 この制度の対象地域は、特定農山村法など地域振興立法で指定された地域において、傾斜地などの一定の要件を満たす農振農用地であり、市内では高山地域の一部の地域を除く全地域が対象となっています。 令和3年度は、市内の94集落、対象農地面積1,180ヘクタールで、市と協定を締結し、取り組まれました。 議員仰せの集落機能強化加算は、令和2年度から始まった第5期より中山間地域等の課題に対応し、より前向きな取組への支援強化のための制度として新設されたものであり、議員もいろいろと申されましたが、高齢者の見回りや送迎、買物支援、コミュニティサロンの開設、道の駅を利用した生活支援活動などの課題に対し、集落の農業生産活動とともに、営農以外の集落機能の強化に関する取組が交付金の加算対象となりました。 現在のところ、当市における集落機能強化加算を活用した取組はありません。もし協定を締結している94集落が全てこの強化加算に取り組んだ場合、交付金額は約3,600万円が加算されることとなります。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 御答弁いただきましたようにかなりの交付金が集落へ下りてきて、それを活用できるんじゃないかというふうに捉えますが、そこで、もう少し突っ込んで聞きます。 先ほど支所長からも答弁がありましたように、高根とか清見、荘川などはAコープの閉店が検討されています。この制度を活用し、生活困難や不便さの解消に向けた取組ができるのではないか。また、これ、特に業務委託も認められている。そうすると、様々な方策が考えられるのではないでしょうか。 もう一つは、まち協など営農以外の組織とも連携ができてもいいよというふうになっていますし、この取組には人材確保、人件費を出して新しい人材を使ってもいいよとも指示されています。運営する協定組合は負担がいっぱいありますが、この負担軽減も図れるというふうに捉えています。 今のこの制度を地域に周知して、この制度を活用する考えというのは持ってみえるのでしょうか。 もうちょっとだけ補足しますと、いろいろ聞き取りしました。いろいろ協定組合をやったり、いろいろな多面的機能の組合もまた幾つもあると。そうすると、役をやる人はいつも同じやと、負担が来ると。だから、消極的になりやすいんやということを聞いています。 ところが、この制度を使えば、そういう人材確保のお金も使えるというふうになっていますから、かなりいいのではないか。特に委託も認められるというふうに。 それで、まち協へ委託するとか、どこどこの組織へ委託して運営するということも考えられるようになってきまして、人材不足という、先ほど支所長からあったように、人手不足、成り手不足が解消するという面も含まれるのかなと思っています。 特に集会所が、軒数が減ったものですから、1軒当たりの集会所を維持するのに大変苦しいということも声が届いています。ちょっと外に行けば、弘前市ではこの加算金を使い、車会社と契約を結んで、レンタルバスとかレンタルワゴンを頼みまして、年間使用料を決めまして、無料で買物バスを運行しているという例も出ています。 私の地域でちょっといいなと思ったのは、1つの集落では女性の方が中心になって、4年前から公民館の一角を借りて、コーヒーを出すなどコミュニティサロンを、実はもうやっているんですよ。 ところが、聞いてみますと、やはり開設にちょっと費用がかかるなとか、いろいろ難しい点があるなというのに、こういうのを支援ができるメニューをつくると、もっともっと、地域のコミュニティが喫茶店が全然ないとか、店がないという集落にもヒントになるのではないかというふうに思っていますので、少し付け加えさせていただきました。御答弁をお願いします。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 集落機能強化加算の活用事例としては議員もいろいろと申されましたが、私のほうから岩手県花巻市においては、集落内の高齢者世帯に対する支援として、見回り、外出、配食サービス、除雪等、農業関係以外の住民も参加する形で取組が行われております。当市においても、地域のまちづくり協議会などの営農以外の組織との連携も可能と考えられます。 また、集落協定を締結したそれぞれの集落が事業に取り組めるほか、集落と集落が連携した取組が可能で、例えばですが、丹生川地域の場合、29の集落協定がありますが、それらを1つにまとめた取組を行うことも可能です。事務的な人員もまとめて1人が対応することや連携することで、交付金額に見合う広域的で充実した地域の暮らしを支える活動を行うことが可能となります。 対象となる農地保全による営農継続に加え、集落機能強化加算の制度により、地域コミュニティの向上など魅力ある地域づくりや、多様な人材が活躍できる場づくり、移住、定住の推進など集落機能強化を高める活動に支援できることから、集落へ再度周知し、他市の先進事例の紹介など、制度活用が進むよう積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) ぜひとも周知をし、集落の皆さんがやる気を出して、それをやはり行政側もフォローする形で進んでいただければ、大変ありがたいと思っています。 そこで、ちょっと気になる点がありますので質問します。 中山間地域等直接支払制度や今の集落機能強化加算は、第5期、この5期はといいますと、令和2年度から6年度の5か年計画で提出書類を出して認可されているんですが、今回、今の話では途中からでも、なかなか国というのは途中から許さなんだんですが、これ、途中からの参加も認められるのかとお聞きしたいと思いますし、先ほど話題になっています高根地域は、その前の5年間をやって平成26年度までやったんですが、次の5年間から空白なんです。参加していないんです。これは、今は問題となっている牧草地の農地として再利用したりして、いろいろ参加できるのではないかと思っていますし、これに参加すれば、先ほど言いましたように、暮らしを支える加算金が出るということで有効ではないかなというふうに思っていますので、この辺はどうなっているかお聞きしたいと思います。 もう一つだけ言わせてください。 この高根地区を中心とした地域の活力向上の観点から森林環境譲与税を活用する方法や、特に、県の観光景観林整備事業によりまして、荒廃農地や沿道沿いのところに桜やカエデなど広葉樹を植え、観光スポットとして地域振興に取り組む考えはいいのではないかと思っています。 高地トレーニングエリアがあります。そこへ向かって、開田のほうへ向きますが、361号に春になると桜がばーっとなって、秋が来たら今度はカエデ中に紅葉がぶわーっとなって、そうすると、すごく地域が生き生きとして、車の出入りも多くなったり、紅葉やったら高根地区へ行ってみようとか、桜を見に行くならちょっと遅いところの桜を見よう、じゃ、高根やというふうになるような観光スポットとして地域振興が図れるのではないかというふうに思い込んでいますが、どのようにこの点についてお考えかをお聞きしたいと思います。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 中山間地域等直接支払制度について、第5期の途中での参加は可能かという御質問ですが、県からは可能というふうで回答を得ているところです。 また、この制度につきましては、農用地を維持管理していくための協定を締結し、それに基づき5年間以上継続して農業生産活動を行うことと定められている中で、先ほど議員も仰せのとおり、高根地区が平成26年度以降参加しなかった理由として、高齢化が進み、後継者もいないため、今後5年間の維持管理が約束できないとの理由でした。 一方で、中山間地域等のこの制度につきましては、第4期までは対象農地のうち一筆でも耕作または維持管理ができない農地があった場合は、協定をしております集落全体の交付金が返還対象でしたが、第5期より当該農用地のみが返還対象となったため、集落全体に影響が及ばないよう要件が緩和されております。 このため、当時と比べ参加しやすい状況となっており、あわせて、地域の暮らしを支える加算制度への参加も可能と考えられます。当制度の条件が変更された内容について、高根地区を含む対象地域へ周知をさせていただき、活用が進むよう取り組んでまいります。 ○議長(水門義昭君) 東野林政部長。   〔林政部長東野敏朗君登壇〕 ◎林政部長(東野敏朗君) 御質問の後半の部分についてお答えをさせていただきます。 現在、市では、清見地域のせせらぎ街道沿線の森林を観光景観区域に設定して、県のぎふ森林・環境税を活用しまして、森林景観に配慮した間伐や除伐、また、在来種の植樹等に取り組んでいるところでございます。 触れられました高根地域においても、御嶽山や高地トレーニングエリアなど、今、多くの人が訪れられており、国道361号沿線の森林を観光景観区域に設定し、景観に配慮した森林整備を進めることは、美しい森林景観を求める観光客の増加等によって、地域振興につながるものというふうに考えております。 また、沿線で目につく山裾の荒廃農地について、山林化して景観向上のための森林整備を行うには、農地法などの諸手続を行うことですとか、県補助事業及び森林環境譲与税の活用、道路沿線の観光景観区域指定などの検討が必要となりますが、まずは地域や地権者の方々の意向や思いをお伺いした上で、連携して取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 今の林政部長からお答えがありましたように、高山市ですから、特に、やはり環境という、この辺は丁寧に推進していただければ、せせらぎ街道の整備事業も全て岐阜県が責任を持って、予算も組み立ててやる事業ですから、大変高山市にとってもありがたいし、いいことです。 今、高根にスポットを当てましたが、そうじゃない地域も、このせせらぎ街道のああいう整備事業、もうあと2年で終了しますので、それもまたしっかり捉えていただきたいなというふうに思います。 それじゃ、次の質問に入ります。 最終的に全てを含めてちょっとお聞きしたいんですが、この制度は先ほども出ていますが、移住にも活用するなど幅が広いんです。地域住民の方々の主体的な取組、それを支える支所を中心に、農政、福祉の両者をつなぐ横串の後方支援の体制が重要です。これがなかったらできないと私、思います。どう捉えているか。 この制度は1つの政策提言にすぎませんが、今後、農政、福祉、移住などの施策も組み合わせながら、農村集落の現状を加味しながら、暮らしを守り、活力ある地域を目指すにはどう取り組むかをお聞きいたします。 ○議長(水門義昭君) 西倉副市長。   〔副市長西倉良介君登壇〕 ◎副市長(西倉良介君) これまでお話のございました支所地域の農山村集落などにおける地域の課題解決という点でございます。 お話のとおり、幾つかの政策などの組合せによって、それぞれの機能をより高めて活用していくということは、大変有効な手段だというふうに考えております。 そのためにも、今ほどお話があったとおり、地域に身近な支所が中心となりまして、地域住民の声を直接お聞きして地域の実情を把握するとともに、支所地域の課題をほかの支所地域ですとか、また、本庁の部局と共有しながら、解決に向けて様々な制度や仕組みを活用し、検討し、進めていく、それも支庁と本庁が協働してより効果的な事業を展開していく、それが必要だというふうに思っております。 また、その際には、やはり本庁の所管部局のほうで入手しました国の制度ですとか、施策、そうしたものを何らかの活用ができないかというような支所地域への促し、そうしたことも必要なのかなというふうに思っております。 体制的にはこれまでもそうした取組を進めておりますし、私も入って関係部署による打合せ会など、そうした庁内の検討組織・体制は組みながら、課題解決に向けた検討、調整を行ってきているところでございます。 ただ行政だけが音頭を取って進めるというのではなくて、やはりそうしたものが地域の住民の皆さんの実態に合わせたものではなくてはいけないですし、また、そうしたものを住民の皆さんに取り組んでいただけるような提案の仕方、また、促し方も必要だというふうに思っております。 そうした意味で、併せてですが、現在、先ほども申し上げましたが、支所長会というのがございまして、総括支所長を中心に支所長会において、地域にとって真に必要とされる支所機能の在り方を始め、支所間連携ですとか、また、本庁、支所との連携、地域住民の主体的な取組についても、検討を進めているところでございます。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) ぜひとも体制が動くように。特に今、この2年間、コロナ禍によりまして、私から見れば動きがにすいなと思っていますし、なかなかできなかったということの実情がございますので、総括支所長を中心に、今、大変農村集落の、特に遠隔地の集落は、集落軒数がうちの地域ですと10軒を割る、半分以下になるというところがもう目に見えてきているんですよ。あと5年もしたら、かなり行きますね。 こういう課題を前もって、やはりそれぞれ連携して、しっかり対応していただくようお願いしておきます。 それでは、最後の質問に入ります。 農業用施設の頭首工についてであります。 農業用水に関わる取水施設、頭首工の漏水などの点検調査の状況についてお聞きします。 今年の5月に起きました明治用水頭首工の大規模漏水は、農家を直撃しました。 農水省によりますと、全国にある頭首工の受益面積が100ヘクタール以上ある施設は、1,953か所あるとしています。そのうち標準耐用年数の50年を超えるものは、780もあるということを報告しています。 現在の高山市の頭首工にまつわる状況はどのようなのでしょうか、お伺いいたします。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 頭首工の点検調査の状況ですが、愛知県豊田市にある取水施設、明治用水頭首工で5月15日に頭首工上流にて漏水し、用水の取水量が大幅に減少した問題が発生したことに伴い、5月20日付で岐阜県農地整備課より頭首工の一斉点検の指示を受け、議員も先ほど言われましたが、受益面積が100ヘクタール以上の頭首工4か所については県担当者と市担当者で合同点検を実施し、その他の頭首工については一級河川から取水しているものを中心に150か所を点検調査したところです。 点検を実施した頭首工については、堰堤等の部分で老朽化は見られるものの漏水はなく、取水に影響がないことを確認しております。残っている小規模な頭首工についても、現在、点検を実施しているところです。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) 答弁いただきましたが、やはり老朽化というのはどうしてもずっと問題にされていますので、このことを中心にもう少し質問させてください。 農業用水など慣行水利と許可水利権施設、たくさんあると思いますが、この数と管理・整備状況はどうなっているんですか。それから、39年度以降のものが慣行なんですが、もっとそれ以前から、明治時代から、昔のものの、いわゆる青線、赤線と言われるもの、これの普通河川から取水している施設、これはどれくらいあるのか。私はかなりの数だと想像していますが、どのような状況なんでしょうか。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 水利権には慣行水利権と許可水利権があり、現河川法が制定された昭和39年以前から取水されているものについては河川法の許可を受けたものとみなす慣行水利権とし、河川法第23条の規定による河川管理者の許可によって成立している水利権を許可水利権というふうにしています。 市内にある用水、自然の取入用水ですとか、頭首工、揚水機のうち、慣行水利権を有する施設は248か所あります。許可水利権を有する施設は44か所あります。 なお、普通河川などから取水している施設については、河川法が適用されない法定外水路であるため、慣行水利権、許可水利権は存在しませんが、用水施設としては129か所あります。 用水の管理状況としては、それぞれの用水の受益者となりますが、用水組合ですとか、改良組合、町内会など、個々の施設により異なる状況となっております。 また、用水施設の整備状況については、簡易な維持修繕については、多面的機能支払交付金の活用や市単工事により、漏水補修や小規模修繕工事を実施しております。規模の大きな修繕工事は、県営中山間地域総合整備事業や県営かんがい排水事業など国の補助事業を活用し、長寿命化に取り組んでいるところです。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) たくさん数があるなと、400を超えるんじゃないかと思っていますが、かなりありますねと思います。そこで、今、農業用の水利施設はほとんど、標準耐用年数を超えるものというのは非常に多くあると私は認識しております。 そこで問題なのは、100ヘクタールじゃなくても受益面積が大きい施設、それで水路延長がすごい長い施設はあります。これをどう把握して十数年後まで見据え、長期的に用水路等の長寿命化のための改修計画を立てて、維持管理の在り方を踏まえ検討すべきじゃないかと思っています。 先ほど部長から答弁がありましたように、大変長いものはなかなか市単事業とか多面的機能事業ではやっていけません。多面的機能の交付金でつくる場合は、200万円程度以下になっていますから、それ以上の改修でしたら、市単でやるか。 市単でやると自己負担が17.5%ぐらいになって、大変負担が多くなってきて、なかなか手がつけれない。じゃ、そこでどうするかといったら、先ほど御案内のように、中山間地域総合整備事業という県の事業を採択することだと私は思います。これですと、受益者負担は5%になるんです。 ところが、この県の事業は、ここに担い手の方が半分以上あって、集約的農業をするという書類というか、申請がそろいますと、後に皆さんが全部担い手やったら、最高で5%の負担が県から推進費としてまた戻ってくるといいますか、補助されるという形になるので、実質、ほぼゼロに近い状態で整備ができるという、そういう事業が今始まってきているんですよ。 これを採択するにはやはりかなりの長い期間で県と調整しながら、順番に長期改修計画を立ててやらないと、なかなか、じゃ、来年よ、再来年よとはいかないので、しっかりこの計画を私はつくるべきだというふうに、今、御質問をさせていただくところであります。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 土地改良事業の全盛期である昭和40年代から50年代に整備された水利というものは非常に多くございます。 小規模改修や部分的な改修については、先ほど申しましたが、多面的機能とかの交付金を活用して対応したりしておりますが、全体的に老朽化が進行しており、大規模な改修が必要な箇所が増えてきているというのが現状でございます。 現在、規模の比較的大きな改修については、地域からの要望を踏まえて、県営中山間地域総合整備事業で整備を行っておりますが、今後、大規模な改修が必要なものが増えてくるということが予想されますので、実態把握を行い、県など関係機関と連携し、全体的な改修計画に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) ぜひともそうしていただきたいと思います。突如として漏水やら壊れちゃったというふうになると、全然、その年、半年ぐらいは水の供給が止まりますので、大切な改修計画になると私は思いますので、お願いしたいと思います。 最後になります。 最近、水難事故が出てきています。住民生活の近くに農業用水路があったり、遊歩道がそばにあったりして、そういう水路が何か所か高山市内にはあります。そこで水難事故が発生しています。 危険地域への対策と対応についてお聞きするわけですが、私の近くの用水路も、実は、ここ20年間で80歳以上の方が4人、落っこっちゃって、残念ながら、亡くなってしまわれました。それ以前を見ますと、幼児の方が3人亡くなってみえます。 生活用水ですので、やはりみんな気をつけて使うという生活用水の時代もありましたが、この頃は水量がだんだん多くなっていく、流れが速くなっていくという状況になって、ちょっとここ15年、20年の間に状況が変わってきたのかなというふうに捉えていますが、私たちの地域じゃなくて、国府境の辺も見てもそういうところがありますし、かなりそういうところが今出てきているなというふうに思っていますが、お聞きしたいと思います。 農水省も今度、ため池の水難事故が多いということで新聞紙上でも出ていましたが、注意を払わなきゃならんということを指摘しておりますが、農業用水路における水難事故の防止のための対策というのはやはりしっかりと、時代が来ているなというふうに思いますので、御質問させていただきました。よろしくお願いします。 ○議長(水門義昭君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 居住地や通学路、それから遊歩道などの沿線を流れる農業用水路については、農業用水として利用されている農業者だけでなく、農業関係者以外の方々に対しても、水路への転落防止についての注意喚起等が必要であるというふうに考えておりますし、必要な箇所については注意喚起看板などの設置も進めてまいりたいというふうに考えています。 また、今後は、農業用や防火用、それから排雪用等に用水を利用されている関係者と相談をさせていただき、転落防止柵の対策が必要なところには、県営事業なんかや県単事業なんかを活用して、安全施設の設置について県と調整をしてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(水門義昭君) 車戸議員。 ◆18番(車戸明良君) ぜひともお願いします。 高齢化社会になりまして、80歳の方が押し車で行くとか、ちょっと散歩をしようと思うときに、思わぬ、足が痛くなったり、ちょっとしたはずみで、誰も見ていないときに落っこっちゃったというのは最近なんです。20年前はこういうことは少なかったんです。 最近になってこれが多くなってきたなというふうに思うので、しっかりと対策を練っていただけばありがたいと思いますのでお願いをして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(水門義昭君) 以上をもって、車戸議員の質問を終わります。  ―――――――――――――――― ○議長(水門義昭君) 休憩します。     午前11時48分休憩  ――――――――○――――――――     午後1時00分再開 ○副議長(谷村昭次君) 休憩を解いて一般質問を続けます。  ―――――――――――――――― ○副議長(谷村昭次君) 次に、山腰議員。   〔11番山腰恵一君登壇〕 ◆11番(山腰恵一君) 通告に基づきまして、一般質問をさせていただきます。 自転車の安全利用についてお伺いをいたします。 自転車の利用は、現在、健康志向の高まりや、スポーツサイクルの人気が上昇し、様々な機種のバリエーションが増えるなど、その利用が増加しており、さらに、排気ガスのCO2を出さない自転車は、環境問題を意識する人にとっては究極の乗り物であります。 また、今年に入って原油高の高騰によりガソリン価格が高騰している背景から、自動車通勤から自転車通勤に切り替えるなど、自転車の利用のニーズは以前より高まっていると考えており、自転車の台数も増加傾向であります。 一方、自転車は道路交通法上、軽車両と位置づけられており、車道通行が原則になっているところでありますが、自転車関連事故もあるなど、危険が多く伴っております。 全国の自転車事故の発生状況では、令和3年度では6万7,673件と前年度より減少傾向でありますが、全交通事故件数に占める割合は21.9%と、過去10年で最も高くなっている状況であります。 また、岐阜県においても、令和3年度中の自転車の交通事故状況では、自転車関係事故は474件であり、そのうち9名の方がお亡くなりになっております。 また、自転車の事故原因別では、交差点などの出会い頭の衝突が多く、その次は左折時の衝突であります。 さらに、年齢別被害状況では、負傷・死傷者数では高齢者の被害が多く、次いで、若年層の被害が高止まりをしている傾向です。 そのような中、岐阜県は自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例が令和4年4月1日に制定されました。自転車の利用に関わる交通事故の防止や交通事故による被害の軽減、被害者保護を図るため、自転車の安全で適正な利用の促進について施策等を定めております。 基本理念では、自転車の安全で適正な利用の促進は、自転車利用に当たり関係法令が遵守され、歩行者や自動車等と共に安全に道路を通行できることが重要との認識の下で、各主体が連携して社会全体で取り組むことにより行わなければならないとうたわれております。 岐阜県の自転車の適正な利用の促進条例では、保護者、学校の責務として、児童生徒等に対する自転車の安全で適正な利用に必要な知識、技能の習得に係る教育がうたわれております。 先ほど、岐阜県の自転車の事故状況の中で、若年層である児童生徒の被害も発生をしています。そこで、児童生徒の自転車の安全で適正な利用をするための知識や技能の習得に係る教育の実施や安全利用の啓発についてどう推進をしているのか。また、自転車を安全に使用するためには、不良箇所がないようにしなければなりませんが、自転車通学者への確実な自転車安全点検の実施をどう推進しているのか、御見解をお伺いいたします。   〔11番山腰恵一君質問席へ移動〕 ○副議長(谷村昭次君) 田中教育委員会事務局長。   〔教育委員会事務局長田中裕君登壇〕 ◎教育委員会事務局長(田中裕君) 児童生徒が安全で適正な自転車利用をするための知識や技能の習得の場として、市内全小学校において、毎年、警察や交通安全協会、市交通安全指導員などの連携、協力により、交通安全教室を開催しております。学校に自転車を持ち込み、自転車点検及び実際に正しい乗り方を練習している学校もあります。 また、中学校では自転車通学時のヘルメットの着用を義務づけており、自転車通学の生徒を中心に、毎年、安全な利用と点検に係る指導を行っているところです。自転車通学者への安全点検や自転車損害賠償責任保険等加入の情報は、市内全ての中学校で年度初めに対象生徒及びその保護者に対して文書などで依頼をしており、現在、市内中学生の自転車通学者のうち約8割が、既に保険等に加入していることを確認しています。 今年度より施行された岐阜県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例では、10月1日より自転車を利用する者には保険等に加入することが義務化されることから、6月の生徒指導研究協議会において高山警察署の方を講師として、市内の小中学校、高等学校、特別支援学校全ての生徒指導主事を対象に、条例の内容や学校として対応すべきことについても研修を行ったところです。 本条例では自転車通学者がある学校の長は、自転車損害賠償責任保険等に加入しているかどうかを確認するよう努めることと記載されておりますので、校長会、教頭会でもこの条例について研修を行い、再度、自転車通学者の安全点検と保険加入の状況を確認し、まだの場合には保護者に適切に対応していただくよう依頼していきます。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 児童生徒の安全で適正な利用のための教育をしっかりと行っていただきますよう、また、事故がないように。 また、自転車の安全点検では、自転車組合さんにお聞きしますと、不良箇所の多くは、ブレーキ関係や車輪等の摩耗、チェーン関係などがあるとのことであり、安全点検整備を確実に行い、安全に自転車を利用できるようにと考えております。 それとともに、今話がありました自転車の安全点検では、点検整備を受けていただくと、自転車点検整備済みのTSマークが発行されます。この赤色TSマークは点検整備に附帯した保険がついており、傷害補償と賠償責任補償があり、賠償責任補償は限度額最高の1億円が賠償され、もしも相手に損害を与えた場合に、損害補償において安心であります。 なぜこのことを取り上げたといいますと、これまで一般質問においても、自転車保険の加入促進を訴えてきたところであります。過去の事例では、自転車で走行中の男子小学生が夜間に歩行中の62歳女性と正面衝突、女性が意識不明の重体となった事故では、神戸地裁が2013年、少年と母親に損害賠償9,512万円の支払いを命じた判決が出されました。こうした高額賠償判決が相次いでいることから、保険加入の重要性を訴えてきたところでございます。 そうした中、岐阜県の自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例では、自転車の損害賠償責任保険等の義務化が令和4年10月1日から施行をされます。市は、市民への保険加入促進をどのように図るのか、市の御見解を伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 西永市民活動部長。   〔市民活動部長西永勝己君登壇〕 ◎市民活動部長(西永勝己君) 自転車保険の義務化につきましては、現在、広報たかやまや市メール配信、ヒッツFMなどで周知啓発に取り組んでいるところです。特に、自転車利用の多い高校生には、学校を通じリーフレットを配布したほか、10月1日の施行前には高校を訪問し、さらなる啓発を行う予定としております。 また、高山市を始め高山警察署や学校長会、交通安全協会や自転車組合など関係機関や関係団体で構成する高山市交通安全対策協議会では、今年度、自転車保険の義務化について重点事業として情報を共有し、今後、それぞれの活動を通じて、周知啓発に取り組むこととしております。 なお、自転車保険につきましては、火災保険や自動車保険などとセットとなっている場合もありますので、まずは各御家庭で加入している保険内容を御確認いただくことが大切だと考えており、このことを含め、市メール配信などに加え、まちづくり協議会など地域団体に対し周知をお願いするなど、自転車保険の加入促進に努めてまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。
    ◆11番(山腰恵一君) これまで損害賠償責任保険の加入について義務化などを訴えてまいりましたが、ようやく県の条例によって義務化となりましたが、万が一、事故を起こしてしまった場合に、加害者、被害者の双方が事故後の補償を担保できることになります。市はしっかりと自転車の保険加入の促進を図っていただきますよう求めます。 次に、ヘルメットの着用です。 警視庁の令和3年度の自転車関連事故状況では、ヘルメット着用状況の致死率比較では、ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用時の1.6倍と調査が出ております。特に、児童生徒への着用を促進する必要もあり、ヘルメットの非着用率と致死傷者の割合では、小学校が72.3%、中学校は59.5%と、ヘルメットを着用していない場合の死傷者率は高くなっているところであります。 そうしたことも含めて、自転車利用者において乗車用ヘルメットを着用する努力義務がうたわれておりますが、市の対応について御見解をお伺いいたします。 ○副議長(谷村昭次君) 西永市民活動部長。   〔市民活動部長西永勝己君登壇〕 ◎市民活動部長(西永勝己君) 小中学校では、児童生徒に対し、自転車利用時のヘルメット着用を指導しています。 また、県では、本年度より新たに県内の高校11校の生徒290人をヘルメット着用推進リーダーとして任命し、生徒自らが手本となって交付されたヘルメットを着用し登校する姿を見せることで、他の生徒の意識醸成を図っていく取組を行っており、市内でも飛騨高山高校及び高山西高校の50人がリーダーとして任命をされています。 なお、市民への啓発につきましては、自身の身を守るために大切なものであることを自覚いただけるよう、引き続き交通安全運動キャンペーンの機会を捉え啓発を行うとともに、自転車販売の際には、購入者にヘルメット着用を促していただくなど、関係機関や関係団体とも連携しながら、普及啓発に取り組んでまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) ヘルメットについては努力義務でありますが、万が一の事故から大事な命を守るためにも、ヘルメット着用の必要性を感じております。促進をよろしくお願いをいたします。 今、様々話をさせていただきましたが、その他にも、自転車の安全利用をするためのルールやマナーの遵守、安全運転の啓発などが大事になってまいりますが、そうした中で、市は、市民が自転車を適切な安全利用をするためにどう責務を果たしているのか、市の御見解を伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 西永市民活動部長。   〔市民活動部長西永勝己君登壇〕 ◎市民活動部長(西永勝己君) 本年4月に施行された岐阜県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例では、市は、地域の実情に応じて、施策に協力するよう努めるとされています。自転車の安全利用、利用者のマナー、交通ルールの徹底を推進していくことが市の責務と考えております。 先ほども御回答いたしましたが、関係機関や関係団体と連携しながら、交通安全対策に取り組んでいくとともに、引き続き、市メール配信や交通安全教室の開催を通じて、自転車は車両であるということを改めて自覚いただき、交通ルールの遵守やマナーなど、自転車利用者の安全意識の高揚に努めてまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 自転車の安全利用を促進するため、ルールやマナーの遵守の底上げを図っていただきますよう、さらに、自転車が安全に利用できる道路環境の整備も、まちづくりの視点から大事であると考えております。今後も、御努力をよろしくお願いいたします。 続いて、2つ目の質問で、ヤングケアラー支援についてであります。 ヤングケアラーについては、昨年6月に取り上げておりますが、1年が経過し、現在の実態や支援など、その後の取組や今後の推進といったことを含め、質問をさせていただきます。 改めてヤングケアラーとは、家族の介護や世話を担う18歳未満の子どものことをヤングケアラーと呼び、昨年、全国の公立中学校に通う2年生を対象にした調査では、世話をする人がいると答えた割合が5.7%、17人に1人とのことであります。さらに、全日制の高校2年生では4.1%で、約24人に1人との調査結果が公表されたところであります。 また、厚生労働省が今年1月に全国の小学校6年生を対象に郵送などで実態調査し、9,759人が回答した結果を公表、約15人に1人に当たる6.5%、631人が世話をする家族がいると回答をいたしました。 家族の内訳では兄弟が最多、平日1日に世話に費やす時間は、1時間から2時間未満が27.4%と最も多いが、7.1%が7時間以上世話をする家族がいるとの回答もありました。 全国調査でヤングケアラーの存在が浮き彫りになりましたが、市では現在、ヤングケアラーの実態はどうなのか、子どもがケアを担う背景にはどのような要因が存在をしているのか、さらに、コロナ禍の影響による家庭環境の変化をどう分析しているのか、市の御見解をお伺いいたします。 ○副議長(谷村昭次君) 川原福祉部長。   〔福祉部長川原幸彦君登壇〕 ◎福祉部長(川原幸彦君) ヤングケアラーにつきましては、家庭内の諸事情により、子どもが家事や介護などの負担を過度に担わなければならないことで、普通に子どもとして学ぶ権利や遊ぶ権利が阻害され、学業やその後の進路にも影響が出てくる大きな課題であると認識しております。 市の実態につきましては、令和3年度に県が実施した各市町村要保護児童対策地域協議会の実態調査において、6名の児童生徒をヤングケアラーとして報告しております。この6名の子どもが携わっている家族などへのサポートの内容は、家事や兄弟の世話のほか、精神的に不安定な保護者の話を聞くといったものでした。 ヤングケアラーに至る要因としては、保護者の養育力が乏しいことや、対象家庭に子どもが家の手伝いをすることを当たり前とする考えがあることなどが推察されます。中には、虐待のある家庭において、親から怒られるのを恐れて、子どもが家事などを強いられているケースもありました。 コロナ禍における家庭環境の変化により仕事が減ったことや、濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされたことなどにより、保護者が自宅に長く滞在することで子どもとの接触機会が増え、虐待を誘発する危険性があることや、保護者の収入減少により子育て世帯の生活が困窮することも影響として心配されるところであり、引き続き、地域や社会全体で子どもや子育て世帯を見守っていく必要があると考えます。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 令和3年度は6名の児童生徒が該当するということを伺いました。 今、実態や要因を伺いましたが、全国調査の結果では、世話をする生徒や児童が特にきついとは感じていないとのこともあり、家族の世話による制約も6割以上が特にないとしており、支援を受ける必要性を自覚していない児童も一定以上いるのだと見られます。 ただ、自身が家族の介護は家族でしないといけない、当たり前だと思っていることや、家族への忠誠心を持っていること、そのような中でケアが日常になっていることで、学習時間の減少や生活面での負担があることは現実にあるのだと考えております。 そのような中で、ヤングケアラーに対しまして、福祉、介護、医療、教育などの関連機関等の分野が連携し、どのような具体的な支援やサポートにつなげているのか。また、関係機関等の研修会の実施や適切な支援につなぐためのヤングケアラーコーディネーターの配置の考えについて、市の御見解を伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 川原福祉部長。   〔福祉部長川原幸彦君登壇〕 ◎福祉部長(川原幸彦君) ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないことなどといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくいため、福祉、介護、医療、教育といった様々な分野が連携してヤングケアラーを早期に発見し、対応することが重要であると認識しております。 国においても令和4年度から、関係機関や民間支援団体などのパイプ役となるヤングケアラーコーディネーターの自治体への配置に支援する取組が始まったところです。 市では、要保護児童対策地域協議会を中心にして、これまでも学校現場での家庭状況の把握を始め、市役所総合相談窓口や子ども発達支援センターなどでの相談対応、民生児童委員からの情報などから、市がパイプ役となって対象家庭や子どもの支援につなげ、しっかりと機能を果たしていると考えており、新たにヤングケアラーだけに特化したコーディネーターの配置は考えておりません。 今後も、国の動向を注視しながら、子どもに関わる支援者がヤングケアラーの発見や支援方策などのスキルアップを図り、きめ細やかな子どもの観察と関係機関との連携した取組を進めてまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 福祉、介護、医療、教育といった機関が連携をしっかりとしていただいて、サポートをお願いしたいと思います。 今、家族の形態も変化しており、家族が抱える課題は複雑化しており、切れ目のない支援が必要と言われております。また、ヤングケアラーは家庭内のデリケートな問題であることから、本人や家族に自覚はないといった理由から、表面化しにくいとも言われております。まずは、ヤングケアラーの見える化をし、社会全体の認識を深め、安心してSOSを出せるようにすることが大事であります。 そのような背景もあり、社会全体で社会的認知度を高める必要があり、政府は2022年度から3年間をヤングケアラー認知度向上の集中取組期間として取組を進めるとあります。市は今後、どう推進を図っていくのか、市の見解をお伺いいたします。 ○副議長(谷村昭次君) 川原福祉部長。   〔福祉部長川原幸彦君登壇〕 ◎福祉部長(川原幸彦君) ヤングケアラーの支援につきましては、昨年度、国が福祉、介護、医療、教育の連携プロジェクトチームを立ち上げ、現状の課題を整理、分析する中で、今年度からの取り組むべき支援策を事業化されたところです。この支援策の1つとして、社会的認知度の向上を図ることを目的として集中取組期間を設け、様々なイベントや広報活動、認知度調査が実施されると承知しております。 ヤングケアラーの支援を進めるに当たっては、周りの大人がヤングケアラーについて理解を深め、早期発見、早期支援につなげていくことや、子ども自身もその自覚がないまま生活していることがないように、広く周知を図り、正しく理解していただくことが重要であると考えております。 市では、国の示す方針や県における取組などを踏まえて、引き続き、教育委員会などと連携した市民や関係機関への情報提供のほか、各種会合での周知、様々な媒体を活用した広報活動などあらゆる機会を捉えて、ヤングケアラーの認知度向上の取組を進めてまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 社会全体で社会的認知度向上を、ぜひともあらゆる媒体を活用しながら、周知を行っていただきたいと思っております。 子どもが家庭、家族のために献身する行為自体はとても貴く、否定するべきものではありませんが、それが原因で自分の将来に希望が持てなくなるようなことがあってはなりません。子どもたちが希望あふれる人生を描けるよう、寄り添う支援をしていかなければならないと考えております。 そうした中にあって、国においては子どもや子育てに関する政策の司令塔を設置し、児童虐待やヤングケアラー、貧困問題、少子化など、様々な困難を抱える子どもや家庭を支えるとあります。 こうした中にあって、国においては2023年4月に、こども家庭庁が創設をされます。子育て、教育における子どもの視点に立った切れ目のない支援強化が重要と考えますが、市の権限や、体制、役割分担はどのように変わるのか、御見解を伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 川原福祉部長。   〔福祉部長川原幸彦君登壇〕 ◎福祉部長(川原幸彦君) 令和5年4月に国が創設を目指しているこども家庭庁は、子どもに関する政策を進める中心となる組織で、内閣総理大臣の直属の機関として、現在、各府省庁に分かれている子どもの政策を一元化し、年齢や制度の壁を克服した切れ目のない包括的な支援などに取り組んでいくこととされています。 市においては、平成29年度に開設した子ども発達支援センター内に保健、福祉、教育の各分野の専門スタッフを配置し、子どもの発達段階に応じた途切れのない支援をコーディネートしていく機能や体制を強化して各種の取組を進めており、児童虐待や障がい児支援、子どもの貧困対策など、今後、こども家庭庁が担うとされる業務についても、既に包括的な支援に努めておるところです。 こども家庭庁については、現在までに詳細が明らかになっていない部分もあることから、今後、国が目指す「こどもの視点、子育て当事者の視点」を大切にした取組を進めていく中で、国の動向を注視しながら情報収集に努め、こども家庭庁の受皿としての対応が必要な事項が出てきた段階で、庁内での協議を進めてまいりたいと考えます。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 子どもをめぐる環境は時代とともに複雑化、多様化しており、そのためには、様々な機関が連携、協力し、子どもの視点に立った支援の強化、子どもの幸せを最優先にするチャイルドファーストの社会の構築が求められます。誰もが安心して子どもを産み育てられる高山市であり続けることを願っております。 3つ目の質問に移ります。 障がい者の利便性向上について。 ここでは、ミライロIDについて質問をさせていただきます。 ミライロIDとは、障害者手帳を所有している方を対象としたスマートフォン向けのアプリです。ユーザーは障害者手帳の情報、福祉機器の使用、求めるサポートの内容などをミライロIDに登録できます。公共施設や商業施設など、ミライロIDを本人確認書類として認めている事業者において、障害者手帳の代わりに提示することで、割引などを受けることができます。従来の紙様式の障害者手帳だと持ち運びが不便、汚れやすいなど、利用することに不便を感じる方もいることから、利便性向上を望む方もおられます。 この無料アプリは、株式会社ミライロが2019年に発表したもので、令和3年10月時点で、全国で3,000社を超える事業者が確認書類として採用、自治体での活用も、埼玉県や大阪府のほか、県内では中津川市など全国で62区市町村に広がり、自治体のホームページ上で掲載をしております。今後、さらに取り入れる自治体も増えていくと考えております。 障がい者の個人情報を見られる手帳所有者の心理的負担や、手帳を確認する側の手間を軽減することが期待されており、飲食店などで使えるクーポンの提供や、障害者種別に応じた生活に役立つ情報の配信なども実施されております。また、マイナンバーカードをお持ちの方は、マイナポータルとミライロIDを連携させることができます。 ミライロIDは民間の会社が行っていることでありますが、障がい者の方が減免の確認書類としてミライロIDを広く認めることで、市内外の事業者にも広く認められ、障がい者の方々のサービス向上につながることが期待をされます。 そこで、障害者手帳を所持している方を対象としたスマートフォン向けアプリ、ミライロIDを確認書類として、市有施設等で幅広く活用できるよう進めてはどうか、市の御見解をお伺いいたします。 ○副議長(谷村昭次君) 川原福祉部長。   〔福祉部長川原幸彦君登壇〕 ◎福祉部長(川原幸彦君) 議員仰せのようなアプリの利用により、障がいのある方の利便性の向上が期待されると考えております。 一方で、課題として、個人情報である障害者手帳を読み取り、登録したその情報の管理については、セキュリティ対策も含め、全て民間の事業者に委ねられることになります。 また、視覚障がいの方は、スマートフォンの利用自体が困難な場合もあり、障がいの程度や種類により、使用できないといった状況が生じます。 市としましては、導入済みの他自治体の状況を確認しつつ、課題を分析し、導入に向け、検討してまいりたいと考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 導入、様々な状況の方もいらっしゃいますけれども、今、手帳を持ち歩く煩わしさもあり、スマートフォンのアプリを入れておけば、確認書類として、市有施設はもとより、公共交通機関での使用、民間事業者での使用など、様々な機会での利用が進んでおります。 こうした取組によって、障がい者の利便性が高まり、外出機会の増加や社会参加の促進につながるものと考えます。検討をよろしくお願いいたします。 4つ目の質問であります。 市内事業者の事業承継について質問させていただきます。 長引くコロナ禍の影響により日本の経済は低迷を続けており、特に観光関連産業、あるいは飲食業種は、これまでコロナ禍による人々の行動が自粛や制限されることにより、長い期間にわたり大きな影響が続いており、現在もその影響はコロナ以前には戻っていない状況と言われております。 また、厳しい状況の中でも頑張って事業を継続されている事業者も大変多くあると考えております。 事業者の中には、先行き不透明の情勢を鑑み、事業を諦めてしまわれる方もあるのだと感じております。 さらに、事業者の高齢化が進む中で、これまで培った伝統技術を残そうと続けておられる事業者もいます。 しかし、高齢化は商売を継続するには厳しいこともあることや、さらに、後継者がいないなど、後継者不足により事業を諦めてしまわれることも少なくはないと感じております。 私の聞くところでは、高齢化や後継者がいないため、お店を廃業しようかといった声もお聞きするところであります。 そうした中で、コロナ禍の影響、あるいは高齢化や後継者不足により、事業を廃業した事業者数はどれぐらいあるのか。また、近年の分析についてお伺いをいたします。 ○副議長(谷村昭次君) 倉畑商工労働部長。   〔商工労働部長倉畑政之君登壇〕 ◎商工労働部長(倉畑政之君) 市内には、様々な理由で廃業された事業者がおられることは承知しておりますが、その事業所数は把握することができておりません。 なお、株式会社東京商工リサーチの公表データによりますと、令和2年度以降、これまでに高山市内で倒産した事業所は13件あると把握しております。 業種としましては、宿泊業が4件、卸小売業が3件、製造業が2件、建設業が2件、飲食業2件と多岐にわたっておりまして、これらの要因につきましては、様々な御事情や背景があったものというふうに推測しております。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 私の感じたところでも、事業所の店舗数は減っていると認識をしております。長年にわたり独自の技術を培って、続けてこられた伝統を絶やしては、まちづくりの観点からも、非常に残念としか言いようがありません。できれば、こうしたお店を、事業を引き続いてくれる人がいることを望んでいますが、簡単ではないとは考えております。 そうした方々に寄り添って、相談を受けることは大事であることから、現在、市では、相談窓口を設置しております。市では、創業者・事業承継個別相談会を行っておみえになりますが、どのような業種が相談に訪れたのか、業種別の内訳や相談内容の傾向と課題について、御見解をお伺いいたします。 ○副議長(谷村昭次君) 倉畑商工労働部長。   〔商工労働部長倉畑政之君登壇〕 ◎商工労働部長(倉畑政之君) 事業承継の相談窓口である商工会議所や各商工会が受けている事業承継に関する相談者は、小売業や製造業、飲食業、宿泊業、建設業、サービス業と幅広い業種にわたっております。 相談内容につきましては、親族内の承継に関する相談が多く、主に経営者の高齢化による子どもへの事業の引継ぎや代表者の変更に関する案件が多い状況でございます。 課題としましては、経営者の体力低下等による差し迫った段階での事業承継の相談が多く、承継先となる子どもの意思や能力とのアンマッチが生じているケースが見受けられるため、十分な準備期間を持った計画的な事業承継の実施に向けた周知、働きかけが重要であるというふうに考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 相談内容の傾向や課題などを伺いました。 相談も様々であり、現在のコロナ禍において多いのは、事業者の高齢化と後継者不足が多数を占めるのでないかと思っております。事業が順調にいっており、売上げが減っていないところでも、先々、この事業や店舗をどうするのかといった不安を持っている人も少なくはないと感じているところであります。 そのような中で、市では事業承継融資の保証料、利子補給で支援をしております。事業承継支援事業では、令和3年度に4件の支援を行ったとお聞きしておりますが、どう事業承継が行われたのか。また、今後、事業承継に向けたマッチングをどう図り、承継を推進するのか、御見解をお伺いいたします。 ○副議長(谷村昭次君) 倉畑商工労働部長。   〔商工労働部長倉畑政之君登壇〕 ◎商工労働部長(倉畑政之君) 市では、議員申されますように、令和3年度より事業承継の円滑な推進と経営基盤の強化を目的とした、市内事業者が岐阜県や岐阜県信用保証協会、日本政策金融公庫の事業承継関連融資を受ける際の利子及び保証料補給を行っております。 令和3年度に当該融資制度を活用した事業承継の内容は、建築工事業におけるM&Aによる事業の承継、塗装工事業における親族内の承継、設備工事業における同業他社の事業の承継、卸売業における食品製造部門の承継に係るものがございました。 平成31年度に高山市事業承継推進委員会を設立して以来、関係者の間で事業承継に係る情報や課題の共有、商工会議所、商工会などの支援機関と連携した相談窓口の明確化、専門家との連携による事業引継ぎの支援、それから事業承継関連融資の利子補給、保証料補給の制度の設立など、関係機関の連携の下、様々な角度、視点から、事業承継推進に向けた取組を進めているところでございます。 事業承継は、事業者にとって非常にデリケートな面もございます。そういった取組でもございますので、関係者において情報を共有しにくい、連携しにくい面も多々ございますが、今後も、商工会議所、商工会、金融機関、よろず支援拠点などとの関係機関の連携をさらに深めまして、事業譲渡を希望する事業所の情報のより効果的な発信方法を検討するなど、マッチング機会の拡充に向けて取組を進めてまいりたいというふうに考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 各関係機関の連携で、事業承継に向けたマッチングの推進という部分を伺えました。 一番大事なのは、承継後にどう事業を盛り上げ、新たな開拓や展開をしていくかであります。事業承継後には、経営の戦略や新商品の開発、販路拡大等の支援が必要になります。 市では、事業承継後の戦略的な経営に向けて、事業の多角化や新商品開発、販路拡大など、サポート体制をどう取り組むのか、市の御見解をお伺いいたします。 ○副議長(谷村昭次君) 倉畑商工労働部長。   〔商工労働部長倉畑政之君登壇〕 ◎商工労働部長(倉畑政之君) 市では、これまで市内事業者の経営革新等の取組を支援するために、国や県の生産性革命や事業再構築に関する補助金への上乗せ助成等を実施してまいりました。 また、令和4年度においては、岐阜県信用保証協会における伴走支援型特別保証を利用した融資制度に対する利子補給を実施しておりまして、中期的な視点で経営改善計画を策定した事業者に対しまして、金融機関による継続的な伴走支援による経営改善等の支援を実施しているところでございます。 今後も、商工会議所などの支援機関との連携や、岐阜県よろず支援拠点高山サテライト相談窓口などの活用促進などに加えまして、中部経済産業局や岐阜県産業経済振興センターとの共同セミナーの開催などによって、市内事業所の事業継続と経営基盤の強化などを進めてまいりたいというふうに思っております。 ○副議長(谷村昭次君) 山腰議員。 ◆11番(山腰恵一君) 事業者に寄り添って、伴走型でしっかりと戦略的な経営によるアドバイスをしていただきまして、軌道に乗るようサポートをしっかりとお願いしたいと考えております。 今、飛騨地域の中でも事業承継した記事がたまに取り上げられております。白川村の地元で愛される伝統食材である石豆腐を製造、販売する深山豆富さんが高齢のため、事業を閉店することになりましたが、縁あって、株式会社ヒダカラさんは、ふるさと納税のプロジェクトで顔を合わせたことから事業を引き取ってもらえないかと打診をされ、検討する中で、伝統の石豆腐を途絶えさせてはいけないと、また、地域の魅力を再構築できるかもとの思いから承継することを決断され、その後、引継ぎセンターのサポートを受け、事業譲渡が締結されたとありました。 こうしたケースも様々あります。どこでどのような縁があり、可能性が広がることも期待ができます。長年続いたお店を絶やすことなく、新しい人が受け継いでくれることを願いたいものであります。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(谷村昭次君) 以上をもって、山腰議員の質問を終わります。  ―――――――――――――――― ○副議長(谷村昭次君) 休憩します。     午後1時51分休憩  ――――――――○――――――――     午後2時00分再開 ○副議長(谷村昭次君) 休憩を解いて一般質問を続けます。  ―――――――――――――――― ○副議長(谷村昭次君) 次に、中筬議員。   〔14番中筬博之君登壇〕 ◆14番(中筬博之君) 訳あって1年間、一般質問を休ませていただきましたが、どうも感覚がつかめないままでおりますけれども、感謝の思いで登壇をさせていただきました。 また、この6月議会が國島市長にできる最後の一般質問ということで感慨深いものがありますし、少しは気を遣うのが礼儀かなとも考えましたが、やはり手を抜いたらかえって失礼に当たるのではないかと、最後までこれまでのスタンスを貫いていこうと、そして残り3か月を悔いなく走り切っていただこうと、そういう自分の中での結論を持って、質問に入らせていただきます。 まず、新しい技術や企画の導入についてと通告しております。 先般、以前から個人的に注目していたビッグデータやAIを活用し、水道管の破損リスクを予測診断するという豊田市の先進事例について、オンラインで学ぶ機会がありました。人工衛星からのマイクロ波による漏水範囲の検知や、AI技術による配管の劣化予測診断など、水道ストックマネジメントの先進的な取組に感銘を受けました。 これは豊田市職員がネットで見つけて直接問合せをし、契約、納品に至るまでに4か月というスピード感、そして、今、JAXAのベンチャー企業による宇宙ビッグデータ活用の実証実験にも取り組んでいるということでした。 財政が豊かだからできるのかというと、そういうことではないというふうに受け止めております。長引くコロナ禍の影響はあらゆる分野に及び、市も緊縮財政という中で多くの事業が見直しをされ、行動制限等もあって、市民も事業者もマインドが低下していると感じております。 そういう中で、新発想や技術革新によってたくましく成長した分野や脚光を浴びた技術もあるわけで、既成概念を打ち破るような新しい発想、新しい技術に今こそ目を向けていくべきで、こういうときだからこそ、元気のある発信が必要ではないかと考えます。 市内の民間事業者や市民の提案による面白い企画や技術も数多くある中でチャンスをうまくつかんで伸びるところがある一方、ポテンシャルは高いのに波に乗り切れずにいるケースもあり、そこは単に営業力の差とも言えないわけで、うまく拾い上げてやるのも行政の仕事ではないかというふうに考えます。 これからの役所の仕事は、どこよりもイノベーティブで、どこよりもリスクを取って果敢に挑戦をする姿勢があっていいのではないかと感じますが、現実問題としては、行政の場合、実績や前例が重視をされるので、他都市での導入事例や社会的認知度がないと、なかなか土俵にも上げてもらえないという声を聞くことがあります。 ただ、そういう中にあっても、時々、高山市で県下初というような面白い事業や斬新な技術の導入もあるわけで、ちょっと驚くことがあります。カメラ画像による人物像解析システムによるコロナ禍での人流の可視化とか、市役所の窓口や駐車場の混み具合をスマホでチェックできるシステムとか、ちょっと前になりますが、下水熱を利用した道路融雪とか、ほかにももっとあると思っていますが、そういうものは職員個々のアンテナでキャッチをし、自らの足で稼いで導入にまでこぎ着けたものなのか、それとも何かのつてによるものなのか、まずそこを確認させていただきます。   〔14番中筬博之君質問席へ移動〕 ○副議長(谷村昭次君) 西倉副市長。   〔副市長西倉良介君登壇〕 ◎副市長(西倉良介君) 御紹介いただきましたAIカメラによります人流量、人の流れの量、それの計測につきましては、事業者からAIによる年齢、また、性別といった属性を取得できる機能の紹介を受けました。それを基に市及び総務省の地域情報化アドバイザーであります名古屋大学の浦田先生と共に活用方法を検討した結果、実証実験を経て、本格導入に至ったものでございます。 また、これを機に、名古屋大学、また、NECソリューションイノベータ株式会社様と産官学の連携協定を結びまして、さらなる技術の活用など、ICTによるまちづくりの取組を進めているところでございます。 市役所の窓口混雑状況のAIによる可視化につきましては、この連携協定に基づく取組の1つとしまして、名古屋大学の大学生が開発したAIカメラを活用したシステムを利用して、それを職員がどういった箇所に活用できるのかというような検討を進める中で、市民課の窓口等での実証実験を行っているところでございます。 先ほどお話がありました、少し前の話でありますが、下水道熱を利用した凍結防止の施設でございますが、これは新たな凍結防止システムの構築に向けてということで、市職員の提案で先進事例を調査しまして、アドバイザーの派遣の受入れなどによって情報収集を進めて、実証実験として整備したものでございます。 このほか、AIチャットボットですとか、RPA、いわゆるソフトウエアロボットによる作業の自動化ですとか、ウェブフォームなどのクラウドサービスによる最新技術の導入なども進めておりますが、事業者さんからの提案により導入したものですとか、先ほどお話もございましたが、職員がインターネットですとか関係書類によって情報を収集する中で、開発事業者に声をかけさせていただいて導入に至ったものですとか、県内の自治体の共同調達によるものなど様々な経緯があるものがございますので、御紹介させていただきました。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) 行政というのは公平性とか透明性を意識するために、どちらかといえば民間事業者との接点を、ある意味、避けるというイメージを持っていますが、一方では、一部の老練な団体との関係性もあって、どうかと思うことはあります。 窓口カウンターには業者の名刺を入れていきなさいという趣旨の箱があったりしますが、実際には新規の事業者からのアプローチに、市はどのように対応されているのでしょうか。名の通った大企業であれば受け入れるのか、無名のベンチャーだったらどうなのか、プレゼンの機会とかは与えられるのか、聞く耳は持たれているのか、あるいは聞いてもぴんとこないことがあるのか。当然、職員の皆さんもよく研究されていると受け止めてはいますが、いいものにぎゅっと飛びつく感性というか、センス、決断力がどうなのかと感じることは多くあります。 失敗は許されないという行政の責任感は理解しつつ、やはり失敗も許容されないとチャレンジが生まれず、まずやってみるという実証実験の中で取り組み、もし駄目だった場合でも、きちんとした検証の上で隠さず報告、説明されるのであれば、納得は得られるものだと考えます。 個々の職員の感性だけに頼るのではない、市の成長戦略としての新規参入の機会確保、組織としての新技術を受け入れる体制の整備について、見解というか、方針について伺いたいと思います。 ○副議長(谷村昭次君) 西倉副市長。   〔副市長西倉良介君登壇〕 ◎副市長(西倉良介君) 市に対して最新技術ですとか、企画の提案があった場合、事業者の、要するに、大手企業であるですとかベンチャー企業というような、実績ですとか規模、そうしたものにかかわらず、市としてメリットがあるのかどうなのか。これは市民サービスの向上ですとか、効率化ですとか、コストの縮減ですとか、そういった幾つかの点で、そうしたものが見いだせそうでありましたら、可能な限り提案を聞く場を設定させていただいております。聞かないと、そういったものが判断できないという視点もございますので、できるだけ聞かせていただくような場は設定させていただいております。 最新技術などの導入に当たりましては、業務フローの見直しですとか、情報セキュリティの確保ですとか、既存事業との調整、そういった様々な課題というのがございますが、それらを一つ一つクリアする必要があります。 その一方で、多様かつ複雑な行政課題を解決していくためには、新たな技術の導入というのが有効なことも多うございます。例えば、トライアルができるような場合は、効果を検証する機会として設けた上で、本格導入するということは可能だというふうに思っておりますし、それによって出てきた結果というものも公表させていただきながら、真摯に検証していくという姿勢を持たせていただいております。 今ほど申し上げましたとおり、最新技術等の導入により、市民サービスの向上、業務効率化につながるものであれば、様々な可能性を排除することなく検討していくという体制、考え方を持っておりまして、それらは高山市の行政経営方針ですとか、高山市のDX推進計画、そうしたものにも位置づけさせていただいております。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) そういうものをまた聞く場は設定しているという話でした。私の認識がずれているのかな、本当なのかなという気はします。 議会改革の中でよく使われた言葉にTTPという言葉があります。これは徹底的にパクるという略なんですが、ある意味、プライドを捨てて、いいものはまねするという考え方で、チャンスを生かすも殺すもマインド次第なんだということであります。そんなことを感じさせていただきました。 次ですが、民間、市民提案による面白い技術や企画を拾い出すのも行政の仕事だというふうに申し上げましたが、契約発注の際の仕様について、こういうものと行政が決めて発注をするのではなく、例えば、市民プールであったり、駅西の開発であったり、野球場、サッカー場であったり、もうプロポーザルをコンペにして、民間の発想、アイデアを積極的に聞く度量というものが大切ではないかというふうに考えます。 ハブとしての行政のスタンスが民間を応援する姿勢であるか否か。よく言えば慎重、堅実、悪く言えばリスクを恐れて臆病であるがゆえに、技術的なことに限らずですが、高山市はいつも一歩出遅れるという印象を持っています。 といって、ばくちを打てと言っているわけではありませんので、どう展開するかを想像する力、デザイン力、熱量などいいものに食いつく決断力も含めて、市のセンスが問われるのだと重ねて申し上げたいと思います。 結果としてやることになるのであるならば、思い切って決断すればよかったのにと思うことは多く、小さく挑戦して大きく育てるみたいなマインドの問題、攻めか守りかの覚悟の問題、そしてスピード感の問題という意味で、ある意味、既得権益に触る可能性もありますが、そこに機動的な成長戦略が必要ではないかと考えます。 正直、ICTの活用でいえば、検討はされてきているものの、出遅れの感がしますし、水道GISやおくやみワンストップ窓口も、自力でシステム構築に取り組まれたことなど評価できる点はありますが、時間がかかったのも事実です。 前例や慣習、横並び重視ではなく、どこよりもイノベーティブでどこよりも果敢にチャレンジする気骨のある市役所、責任は取るから思い切ってやってみよという懐の深さというか、覚悟について伺いたいと思います。 ○副議長(谷村昭次君) 國島市長。   〔市長國島芳明君登壇〕 ◎市長(國島芳明君) ありがとうございます。大変激励をいただいたということで、大変感謝を申し上げたいと思っております。 新たなことにチャレンジをする場合、やはり初期投資とか、ランニングコストなどの経費が必要となる場合もございまして、市民の皆様からお預かりした税など貴重な公費を投じる以上は、費用対効果の見極めなど、リスク管理の上で堅実な市政運営に努めることは、行政にかけられた責務であるというふうには捉えておるところでございます。 その上で、社会の変化は想像以上に速い、行政運営においてもスピード感を持って、あるいは柔軟性を持って当たることがやはり欠かせない、そして、何事にも果敢にチャレンジするという気概をやはり持ち続けていくということは重要なことである、これは認識しているところでございます。 このことはその時々で表現は異なりますけれども、私もこれまで職員に対する幾多の訓示の中で、一貫してお願いしてきた柱でございます。 例えばでございますけれども、振り返ってみますと、歴史創新という言葉を使わせていただいたことがあります。言われたことだけを行うのではなくて、創意工夫をし、新たな高山市の歴史を自分自身がつくっていくという思いを伝えたかったということでございます。 次に、新たな高山市の歴史をつくっていくという思いで、破天荒というような言葉も使った経験があります。今まで人がなし得なかったことを初めて行う、そして、前人未到の境地を自ら切り開いていくという思いを込めて使わせてもらいました。 また、株式会社高山市という言葉も使わせていただきましたが、これは高山市全体に人、物、お金を呼び込む努力を職員一人一人が意識した上で、慣例ではなくて、新しいことへ挑戦していくことが大事だよというようなことを込めたつもりでおります。 いや、まだまだ十分に成熟はいたしてはおりませんけど、私の任期もあと3か月程度になりましたが、これらのことを職員と共に積み重ねてきたことにつきましての職員のチャレンジ精神というのは、今後も、市政運営の中において引き継ぎ、発揮されていくものだと、私は期待を込めているところでございます。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) ありがとうございます。一貫して新しいことに挑戦するということを訴えてこられたということでした。 かつて、私、行政の裁量権という質問をしたことがありますが、チャンスをつかみ取るか見逃すかの大きな分かれ目だと感じる場面は多くありました。民設民営の大学創設という千載一遇の話には、明らかに後ろ向きだったというふうに捉えております。 コロナによる緊縮財政の中、選択と集中の責任はさらに重くなってきましたが、完璧を目指すあまり、時期を逸することのないよう、まず一歩踏み出すこと。ちょっとばかり反対の声が上がろうと、停滞することなくチャレンジする高山市、チャレンジを応援する高山市が続くことを期待して、この質問は終わります。 次に、市道編入の在り方についてと通告しております。 この趣旨の質問はこれまでに何度もなされてきましたが、市としては、将来の維持管理コストを考え、市道延長を少しでも減らしたいという強い意向があるようで、市道路線の廃止は若干あっても、新たに市道に編入するという動きはまずなかったと見ております。現状を見て、これが市道かと感じるような必然性の薄い市道がある一方、ここは当然市道でいいんじゃないのかと感じる通行量もあって、問題のない私道があります。 並行する幹線道路をショートカットで結ぶような私道については、現状に即して、当然、幅員や排水路、安全性の確保など、条件が整っていることが大前提ですが、市道に組み入れてもいいのではないかというか、まちづくりの観点からも組み入れるべきではないかというふうに考えます。 高山市私道の市道編入に関する条例及びその規則では、一定の基準を満たせば、市道認定の手続を行えることとなっていますが、現実問題としては、市道認定の実績はありません。 要は、物差しの問題ですが、直近の議会答弁として令和元年6月に、私道の市道編入基準の在り方について検討を進めたいと答弁されております。その検討は進んでいるのか、方向性は定まったのか、まず伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 中垣内建設部長。   〔建設部長中垣内一君登壇〕 ◎建設部長(中垣内一君) 私道の市道編入基準の在り方につきましては、市域全体の私道について、構造要件や位置要件の妥当性など、引き続き調査を行ってまいります。 また、近年、編入を御要望される皆様の思いをお聞きしますと、開発業者の廃業や撤退により管理者が不明となったことで、道路修繕や除雪が大きな御負担となり、支援を望む声が多いことを踏まえ、私道の維持管理に係る支援の在り方についても検討してまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) 全市域にわたって、妥当性について調査だという言葉です。また、私道の支援の在り方についての検討ということで、検討はなされているのだなということだけは感じ取らせていただきました。 次に行きますけど、申し上げるまでもなく、私道の現状としては、当然、市道ではないので除雪はしない。道路側溝の修繕もしない。全て道路管理者の責任だということになります。 一般の市民の方はそういうことは分からないので、同じ税金を払っているのにどうだというふうに言われることが多いです。中には、その対応策として、私道沿線の住民で町内会費や班費とは別にお金を特別会計に積み立てて、道路修繕や除雪に充てているところもありますが、そういうことがみんなの合意で取り組めるところはいいですが、難しいところもあります。 そもそも、そういう私道のデメリットについて、宅地開発や宅地売買の際にきちんと説明がなされているのかという問題がありますが、当然、説明不足に加え、時々見かける無秩序とも言える宅地開発に対し、市としての指導性が十分発揮されていないのではないかと感じることもあります。 この点について、市の見解を伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 北村都市政策部長。   〔都市政策部長北村幸治君登壇〕 ◎都市政策部長(北村幸治君) 宅地建物の取引においては、宅地建物取引業法により、取引業者は購入者に対して重要事項を記載した書面を交付して説明することが義務づけられており、その中で、「私道に関する負担に関する事項」についても説明をする必要があります。 また、一定規模以上の宅地開発につきましては、美しい景観と潤いのあるまちづくり条例に基づき、事前に市へ事業計画の届出が行われます。 こうしたことから、市では条例に基づく事業計画の届出の際に、道路の維持修繕において生じる費用や除雪費の負担等についての資料も添付するように求めており、その内容を確認するとともに、購入者に対して重要事項としてしっかり説明するよう、宅地開発事業者に対して指導しているところです。 引き続き、開発事業に際しては、条例に基づく手続を通じ、事業内容全般について市のまちづくりの方針への適合を求めるとともに、私道の管理のことについても購入者にしっかり伝わるよう指導に努めてまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) 重要事項として説明することは義務づけているということでしたが、本当にそうかと思う感じがするので、こういう質問をさせていただきました。 次に行きます。 市道について、公共施設等総合管理計画には、「設置目的と利用状況を踏まえ、道路としての位置づけを検討する。」というふうにされております。今後の利用が少なく、市道としての必要性が低いと判断される場合は廃止して減らす一方、幹線と幹線をつなぐなど利便性が高まることで、まちなか居住にも資する公益性の高い私道は、要件を満たせば積極的に市道に編入していくという両面作戦で、まちづくりを進めるべきではないかと考えます。 今、私道が700路線近くもあるとはいえ、現状を見ていけば、編入可能な私道がそれほど多いとは思いませんし、むしろ廃止してもいい市道のほうが多くあるのが実情だというふうに思っています。差引きすればどうなのでしょう。 持続可能な社会基盤の維持、コンパクト・アンド・ネットワークという視点に立ち、申請が上がってくるかこないかではなく、廃止すべきものは廃止をする、認めるべきものは認めていくという市道廃止と新規編入のめり張りの中でプラスマイナスを判断し、未登記の処理も含めてですが、市道1,862キロの洗い出しと、計画的かつ戦略的な整理が必要ではないかと考えますが、市の見解はいかがでしょうか。 ○副議長(谷村昭次君) 中垣内建設部長。   〔建設部長中垣内一君登壇〕 ◎建設部長(中垣内一君) 市道に関する基本的な方針は、ただいま議員御紹介のとおり、高山市公共施設等総合管理計画におきまして、市道として必要な道路は適正に維持管理を行い、必要性が低いと判断される場合は、条件が整い次第、廃止することをお示ししております。 私道の市道編入につきましては、要件を満たすものは市道として認定し、適切に維持管理してまいりますが、先ほどお答えしましたとおり、基準の在り方について、調査の実施と検討を進めてまいります。 また、利用の少ない市道の廃止につきましては、昨年度も弁護士意見を求め、沿線の家屋や土地の所有者に対し、明確な基準を示すこと、廃止の同意を得ることとの助言をいただきました。 引き続き、市道の利用状況等の調査及び廃止基準について検討を行いまして、必要な市道と廃止に向けた検討をする市道を整理することで、より効率的な市道管理となるよう計画的に取り組んでまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) 調査という言葉でしたが、答弁でしたが、この質問はもう少し前向きな答弁がもらえるものかなというふうに感じておりました。ぜひ先ほどの1番目の質問と同じで、スピード感を持って進めてもらいたいと思います。 また、市道の廃止基準というお言葉もありました。これは大事なことだと思っています。しっかり物差しをつくって、それに従って粛々とまちづくりを進めていくということはありだと思っております。 そしてまた、条例なり規則の中に、「現場の状況を勘案して、市長が必要と認めた場合」という一文を設けて、市道編入、市道廃止を入れていくという必要もあるのではないかということだけ申し上げたいと思います。 次に行きます。 行政に対する理不尽なクレームへの対応についてと通告しました。 長引くコロナ禍の中、市民が見えないところで本当に頑張ってくれている職員を見てきましたが、市役所にいると、時々、窓口の職員をどなりつける声が5階の議会フロアまで聞こえてくることがあります。その内容までは分からないので一概には言えませんが、権利意識が強くなる傾向の中、大声を上げる人や、高圧的な態度を取る人、時には不当な要求を突きつけてくる人というのは、どこの世界にでもいるものだと感じるところです。 もちろん、一言でクレームと片づけてしまうのは問題で、受け止めるべき大切な指摘もあり、その見極めは大事です。民間企業はクレームから新たな価値を生み出そうと努力をしており、市民に奉仕する仕事という意味では、行政もサービス業と言えるわけですが、口答えしないことをいいことに理不尽な要求や態度で多忙な市職員の時間を奪う行為は、結果として行政サービスの低下につながり、全市民にとってマイナスになるものと考えます。 市民全体の奉仕者として、公共の利益を担うべき職員の在り方を考えると、行政の理想と矛盾の顕在化とも言える状況ですが、そこで、まず、市幹部の皆さんは、そうした直接市民と接する最前線の実態を、どんなふうに把握されているのか伺いたいと思います。 ○副議長(谷村昭次君) 荒城総務部長。   〔総務部長荒城民男君登壇〕 ◎総務部長(荒城民男君) 市役所には様々な方が様々な目的で訪れておられますが、中には、市の業務の不備により、そのことについて意見をお伝えにお見えになられるような事案のほか、市では対応できない内容が含まれるなど、対応に苦慮するような事案もあるところでございます。 窓口担当などの職員は、相手の立場に立っての応対や、行政の理屈を押しつけないというような応対に心がけているところではございますが、応対した職員だけでの対応が難しい事案については、管理職や係長も交えるなど、組織としての対応を行っているところでございます。 また、複数部署に関係するような事案や、影響が大きいと思われる事案などについては、その事案の程度に応じて、市長、副市長を始め、関係する部局にもその状況を報告するとともに、必要に応じて協議の場を設けるなど、市役所内の情報共有を行って対応しているというところでございます。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) 模範的な答弁をいただきました。 時々、私はクレーマーかもしれないと涙ながらに自ら言ってこられる方がありますが、自分でそう言える人はクレーマーではないなというふうに思っております。窓口の対応がやはりよくなかったのだと、そこは受け止めております。 そして、一口にクレームといっても、暴力行為や脅迫行為であれば、分かりやすいんですが、業務妨害に当たるのか、言われることが謙虚に受け止めるべき内容なのか、市政全体、市民全体にとって有益か無益かを冷静に見極める必要はあります。 長引くコロナ禍に起因する格差社会の長期化やストレス、価値観のゆがみが攻撃性を伴って増幅した結果だと、不寛容な現代社会のカスタマーハラスメントを説明する研究者もいますが、何にしても、大声は出さずとも何回も窓口に来たり、電話で長時間にわたって執拗な要求をして職員が拘束されるのは、市政にとってマイナスです。 中には、クレームをつけること自体を目的にというか、それを生きがいに役所に来る人が増える傾向にあるとも言われますが、建設的な話か否か、説明して納得する人か否か、業務妨害と判断する基準は明確化ということだと捉えております。 市として、対応マニュアル的なものはあるのだと思っています。現場任せではないのだと思っていますが、場合によっては警察とも連携するような実効性のあるものでなければ意味がないわけで、適正かつ厳正な対応につなげるためのクレームの見極めと判断について、市の考えを伺いたいと思います。 ○副議長(谷村昭次君) 荒城総務部長。   〔総務部長荒城民男君登壇〕 ◎総務部長(荒城民男君) 市では、様々なケースにおける職員の対応能力を向上させるため、これまでも窓口職場の職員などを中心に住民対応能力向上研修などを受講するのを始め、管理職向けには岐阜県警から行政対象暴力について講師に来ていただいたり、警察OBの方に安全安心専門員として、危機事案の対応について指導を受けてきております。 今年度は、係長を対象にクレーム対応研修の実施を計画しておりまして、様々な状況に応じた対応ができる職員を育成しているところでございます。 議員お話しのようなクレームの見極めと判断が求められるケースにおきましては、そのクレーム内容や過去からの経緯のほか、相手の方が興奮されていらっしゃったり、精神に疾患をお持ちの場合などもあることから、そのときの状況などによって判断しなければならないケースがほとんどであると認識しております。 そのため、明確な指針というものはございませんが、担当部局が総務部などと協議し、そのときそのとき、適切な判断、対応が取れるよう努めているところでございます。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) その都度の判断だということでした。 最近の新聞報道で、土岐市の図書館で迷惑行為を繰り返した女性に対し、入館禁止処分としたことに対する高裁判決の記事を読みましたが、1日に150冊もの本を借り出し、返却するなどのほか、職員に暴言を吐くなど業務を妨害した女性を図書館運営規則に基づいて入館禁止としたもので、一審ではそれが違法と判断されなかったことを受けての控訴審での逆転判決という経緯のようですが、土岐市は改めて図書館設置条例を改正したというふうに聞きます。 高山市の図書館でも、ここまでにいかないまでもそれに近い話というのは聞くわけで、何にしてもこういう面倒の対応というのが、職員のモチベーション低下の要因だと感じます。 当市においても、迷惑行為は、時に窓口だけではなく、メールやファクスということもあったり、極端な例は、ネームプレートを見て、夜、自宅にまで電話をしてきたり、また、訪問した職員への暴言というのも以前に聞いたことがあります。私たち議員の場合は、たたかれるのが仕事というか、立場上、そういうこともままあることですが、職員の場合は、メンタル面の健康管理という面で心配になります。 労働安全衛生法の市の配慮義務という点では、メンタルチェックも大切なんですが、それ以前の行政の危機管理の問題として、窓口対応の研修も含め、組織的に実効性を高める方策のほうが大事なのではないかと考えるわけです。最低でも、窓口には、厳正に対処する旨の表示とか、防犯カメラの設置というようなことも検討する必要があるのではないでしょうか。 現状、毅然と対応するためのマニュアルや組織としての対応の仕組みは確立していると言えるのか。あるのであれば、もっとびしっとしたものに見直す必要があるのではないかというふうに考えますが、改めて見解を伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 荒城総務部長。   〔総務部長荒城民男君登壇〕 ◎総務部長(荒城民男君) 特に深刻なクレーム事案の対応につきましては、職員個人での対応でなく、組織での対応ということを基本としておりますが、そのため、対応が難しい事案においては、原則、複数人で対応することや、必要に応じて相手の許可を得て録音、録画をさせていただくなど職員個人を守ることと、刑事事件や裁判等になった場合に備えて記録を残しておくことなどの対応を講じているところでございます。 また、先ほどもお話ししましたが、事案の深刻度、困難度などに応じて、担当部局や総務部、または関係部局等との情報共有や、解決に向けた協議の体制というものは整っているところでございます。 しかしながら、近年は、議員お話しのとおり、クレーム事案も複雑化、多様化しているものと認識しております。先ほどの判断のことも含めですが、基本となる対応マニュアルについて作成するなど、職員が安全で安心して市民サービスが提供できる環境づくりというものを進めてまいりたいと考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 中筬議員。 ◆14番(中筬博之君) この質問は言ってみるだけの質問になってしまいましたが、公の施設について定めた地方自治法244条には、「普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」とされていますが、これは裏を返せば、正当な理由があれば拒んでいいんだと、拒むことができるんだというふうに受け止めることができると思います。 相変わらず市の窓口対応がよくないという声はよく耳にするところで、そこは市民が主役との考え方の下、きちんと是正を図っていただくとして、理不尽なクレームに対しては毅然と対応することで、職員にいい仕事をしてもらう、そういう環境を整え、市民サービスの水準を高めていくということが大切であると考え、取り上げさせていただきました。 以上で質問を終わります。 ○副議長(谷村昭次君) 以上をもって、中筬議員の質問を終わります。  ―――――――――――――――― ○副議長(谷村昭次君) 休憩します。     午後2時42分休憩  ――――――――○――――――――     午後2時55分再開 ○副議長(谷村昭次君) 休憩を解いて一般質問を続けます。  ―――――――――――――――― ○副議長(谷村昭次君) 次に、西本議員。   〔3番西本泰輝君登壇〕 ◆3番(西本泰輝君) お疲れさまです。 ウクライナに一日も早く平和な日常が再び訪れることを願う毎日ですが、平成29年3月24日に高山市平和都市宣言を行い、国際観光都市として世界に向け恒久平和の実現を訴えられてきた國島市長の平和への思い、平和な市民生活の尊さ、ありがたさを改めて感じております。 その一方で、先頃はその國島市長が今期限りの勇退を表明されまして、また、4月には、市から約60年にわたり地域活性化のシンボルとして親しまれてきた市営ひだ舟山スノーリゾートアルコピアの廃止の方針が発表されました。産業建設委員会ではしつこく質疑をさせていただきましたが、一抹の寂しさを感じているのも正直なところです。 世界の地域紛争と、久々野、一之宮地域の市営スキー場の存続廃止問題を通じて、私はあの宮沢賢治のこんな言葉を思い出しております。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」。 スキー場廃止に伴う広域的な地域振興については一般質問でも提案しておりますが、廃止する地域にとどまらず、両地域、さらに、朝日、高根地域へと続く高山市の南玄関、南高山地域全体の活性化につながるよう、市当局、本庁と支所とが連携した行政のリーダーシップ、そして、持続可能な高山市や地域の将来を展望した夢のある取組に期待をしております。 それでは、通告に基づきまして一般質問をさせていただきます。 今回の私の一般質問は項目としては3つ、いずれも我が国が直面している喫緊の課題であり、高山市にとっても極めて重要な、私たちの命に関わる食料の確保と、それを支える農業の振興、そして、持続可能な高山市をずっと子どもたちにつないでいくための移住・定住対策、さらに、ようやく再開した訪日外国人観光客の受入れと新たな観光戦略についてであります。 それでは、1つ目の項目、食料安全保障と農業振興対策について、5つの質問をいたします。 最初の質問は、円安などによる食品や飼料、肥料等の高騰に対する市の見解について尋ねるものであります。 先日の日銀の黒田総裁の値上げ許容発言、「家計が値上げを受け入れている」というような講演での発言が物議を呼んでおりますが、農山村地域である飛騨地域でさえ、野菜などの食材が値上がりをしまして家計を圧迫し、農家においては農畜産物の生産に必要な経費が増大して苦しい資金繰りの中で、今後の農業経営に不安な毎日を送られております。 平成11年7月に公布、施行された食料・農業・農村基本法は、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄を適切に組み合わせ、食料の安定的な供給を確保することとしておりますが、現状では、日本の食料自給率は2020年度、カロリーベースで40%に及んでおらず、国産の食料では必要なカロリーの37%しか摂取できていないという大変不安な状況であります。 そこで、政府が2030年度までに食料自給率をカロリーベースでは45%にするという目標を掲げる中で、最近では、市内でも円安などにより、スーパーなどに並ぶ野菜や果物、肉類等食品が値上げをしまして、一方で、農家が農畜産物を生産するために購入しなければならない肥料や飼料などが高騰している状況に対し、食料安全保障の視点からどう捉えているのか、市の見解を伺います。   〔3番西本泰輝君質問席へ移動〕 ○副議長(谷村昭次君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 食料・農業・農村基本法では、食料の安定供給の確保、多面的機能の十分な発揮、その基盤となる農業の持続的な発展と農村の振興の4つの基本理念が掲げられ、不測時の食料の供給の確保についても明記をされています。 しかしながら、議員仰せのとおり、食生活の変化に伴い、カロリーベースの食料自給率は長期的に低下傾向で推移し、2020年度については37%と過去最低となっています。 さらに、農業の肥料価格は、世界的な穀物相場の上昇や好調な需要が続く中で、中国の輸出規制、ロシアのウクライナ侵攻などによる世界有数の肥料輸出国からの輸出停滞、海上運賃の上昇や円安基調等の様々な要因が重なり、史上最高値と言われるまで原料価格が上昇している状況です。 また、農産物の多くは価格が市場で決まるため、資材の高騰を価格に転嫁できないという状況です。 市ではこうした状況の中、肥料を始めとする農業資材の高騰が農業経営の圧迫につながるというふうに考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) 食料自給率につきまして、品目別自給率は生産量を重量ベースで計算されますけれども、農産物では米や芋類、野菜、キノコ類などは自給率が高いものの、農産物の化学肥料はほぼ100%近く輸入に頼っておりまして、それは自給率に反映されてはおりません。 また、農産物の自給率は、飼料自給率を反映しますと、牛肉が9%、豚肉6%、鳥肉8%、鶏卵12%まで一気に下がってしまうのが現状のようです。 食料安全保障とは、全ての国民が現在から将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるよう保障することですが、日本では様々な原料から農畜産物まで大きく輸入などに頼っており、食料事情や農業経営は極めて不安定な状況にあると言えます。 今ほどの答弁で、市では肥料を始め農業資材の高騰が農業経営の圧迫につながると捉えているということでしたけれども、農業を基幹産業とする高山市として、不安定な状況に対し、どのような農業振興をしなければならないと考えているのか伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 先ほども申しましたが、農業資材等が高騰していることとか、入手困難な状況というのは先行きが見通せず、農業経営が不安定となって、現在、農業後継者不足と相まって、地域の農業の衰退に一層拍車がかかっていくものと危惧をしているところです。 一方で、高山のように自然が豊かで、それからあと、農業の比較的盛んな地域では、まだまだ未利用の地域資源がたくさんあるということです。 今後、こうした地域資源を有効活用して地域循環型農業の展開と、それと併せて、地産地消といった地域循環型社会を構築していくことが、持続可能な農業につながる重要なポイントというふうに捉えておりますので、こうした視点を現在進めております農業振興施策に反映させて、関係機関と連携して積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) 分かりました。私もそういったことは自分としても考えておりますし、これから後の質問にもその辺りのこともまた出てきますので、お願いします。 それでは、次に、地産地消の推進について質問をいたします。 市では昨年、広報たかやま8月号で「高山市の食材ってすごい! 自慢のおいしい地元食材を食べましょう!」という特集を組まれました。 この特集では、地元で採れた食材を地元で食べる地産地消について、生産者の皆さんがおいしさの特徴を紹介したり、地産地消推進会議の会長さんができることから一緒に始めましょうと呼びかけられたり、生産者の方や学校給食で地元食材を味わう子どもたちの声なども掲載されていて、地元の食材を大切に生かし、市民や観光客の皆さんにたくさん食べていただこうという積極的な市の姿勢を感じたところです。 特集最後の市長コラムで、國島市長は、「『飛騨高山の食材には力がある!!』首都圏の料理研究家や有名レストランのシェフから数多く聞く言葉です」、「高山で生産される食材の価値観は想像以上に高く評価されています」などと語られております。 新型コロナウイルスの影響により観光客入込者数が大幅に減少する中で、令和3年度の高山市の農畜産物生産販売額は前年対比104.7%増の229億9,000万円と過去3位の販売額を記録しました。 そこで、市内資金循環の促進による市内経済の好循環を進めており、このことは食料安全保障の視点からも重要であると考えますが、高山市における地産地消の推進の課題と今後の取組について伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕
    ◎農政部長(林篤志君) 地産地消の推進につきましては、平成24年度より、生産者を始め宿泊事業者、飲食事業者、流通事業者などで組織する高山市地産地消推進会議を発足し、地産地消推進事業に取り組んでいるところです。 課題については協議されており、作る生産者側ではトマト、ホウレンソウといった単一生産化が進み、多様な少量多品目の顧客ニーズに対応した産品の生産に広がっていないことや、コスト高による生産縮小などの要因があり、使う消費者側にとって生産される農産物がいつどこでどれだけどのように栽培されているのかなどの情報不足もあり、地元産食材の活用が進んでいないということが主な課題と考えています。 市ではこうした課題に対し、本年、地産地消推進会議で地産地消の推進に御協力をいただいている宿泊業、飲食業を中心としたサポーター店舗、団体に対し、地産地消を進めるための手法などを聞き取るアンケート調査を実施しております。 今後、調査結果を分析し、解決策を関係機関と連携して進めることで、地産地消のさらなる推進及び地域の安定的で魅力的な食料確保につなげてまいりたいというふうに考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) 地産地消を進めるための手法などを聴くアンケートのお話も今ほどありましたけれども、大切なことですので、ぜひ生産者、食材を販売されるスーパーや八百屋さん、道の駅、食品を納入され使用される飲食店やホテル、そして市民の皆さんなどの声をしっかり聴いていただきたいというふうに思います。 そして、マッチングが図られるように事業化をし、それが実際に地元食材の消費行動につながって、市民や観光客の皆さんが、そして生活が苦しい御家庭でも安心・安全な飛騨の食材が食べられ、おいしく健康な食生活を楽しめるよう、地域経済やSDGsにも貢献する日常的な取組を期待いたします。 例えば、市内で生産された食材、食品を購入すると、ポイントがたまって還元されるとか、たまったポイントにより高山市の特産品がもらえるとか、SDGsの推進と併せ、そうした制度、仕組みは考えられないでしょうか。 ○副議長(谷村昭次君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 市ではこれまでに地元農産物の生産が最盛期となる8月とか9月を飛騨をまるごと食べんかな月間として様々な事業を展開してきておりますが、その中の1つに、サポーター店舗と生産者が共同してわくわくラリーキャンペーンという、サポーター店舗をめぐるキャンペーンというものを実施してきたところです。 サポーター店舗で飲食または地元野菜を購入された方に景品が当たるという仕組みの事業ですが、利用者、消費者の方からも好評だった上に、作る側の生産者と、それから使う側の利用者からも、活動により新たなつながりが生まれたですとか、一体感が感じられたというような声の御感想をいただいて、新たな展開のヒントというふうに捉えております。 今後は、こうした取組に加えて、現在進めておるアンケート調査の結果や、議員からのポイント制などの御意見も参考にしながら、より地産地消の理解が深まる、そういった事業展開を、地産地消推進会議と共に連携して取り組んでまいりたいというふうに考えています。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) ぜひ年間を通じて、毎日の市民生活の中で、市民の皆さんが地産地消を楽しめるような、高山に住んでいてよかったなと思えるような仕組みを実現していただきたいなというふうに思います。 それでは、次に、肥料を始めとする生産経費の増大に対する支援策について、これについては松山議員も質問されましたが、農家の方々の声を受けて、私からも質問させていただきます。 御存じのように、肥料の国内シェアの約50%を占めるJA全農は、6月から10月に供給する秋肥の大幅値上げを発表。春肥に比べ、単費では尿素や塩化カリを中心に25%から94%値上げし、窒素、リン酸、カリを各15%含む基準銘柄の高度化成肥料は55%値上げをされます。 これは、穀物高騰で世界的に肥料需要が高まる一方、ロシアのウクライナ侵攻などで供給が逼迫し、原料の国際市況が軒並み史上最高値まで上昇していることが要因で、円安なども影響し、原料価格高騰により全農以外の肥料供給業者にも、相次ぎ値上げする動きが出てきております。 全農では、国の化学肥料原料調達支援緊急対策事業によりまして、90%以上を中国から輸入しているリン酸とアンモニウムの輸入先をモロッコ等へシフトするなどしていますが、肥料製造に使う使用原料はほぼ100%海外からの輸入に依存している日本において、今回の事態は極めて深刻です。そして、農家の農産物の生産にかかる費用は肥料だけでなく、燃料や農薬、ビニールハウス、段ボール等々の各種農業資材が軒並み値上がりしている厳しい状況にあります。 こうした状況の中で、自民党ではこのほど、食料安全保障の強化に向け、小麦、大豆、トウモロコシなど大幅増産に向けた畑、水田の有効活用や品種開発などへの思い切った支援や、円安などで悪化した農業経営対策として、肥料の急激な価格高騰を緩和する新たな仕組みを設けるなどを政府に提言されたところです。 そこで、畜産農家の飼料については、今定例会に提出された補正予算に計上されておりますが、米や野菜、果樹など農作物の生産農家についても、肥料、燃料、農薬、資材の高騰は農業経営を直撃しており、市として早急な支援策を講ずるべきではないかと考え、質問いたします。 ○副議長(谷村昭次君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 先ほども述べたこととちょっと重複をしますけれども、こうした原材料価格等の高騰によりまして、少なくとも令和5年作に向けた肥料購入価格などは上昇し、次期作に向けた農業経営の打撃が多くなるものと懸念をしております。 今後は、肥料などの納入業者や農家への聞き取りを進めるとともに、国や県の動向も注視しつつ、市としてできることを検討してまいりたいというふうに考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) ぜひ市としても精いっぱいの支援をよろしくお願いいたします。 この問題は高齢化などで年々水田の全面委託などが増加する中で、田園風景を守ることも使命として感じ、頑張っていただいている担い手農家などの経営にも深刻な影響を与えているというお話も伺っております。 度々質問をしておりますが、生産コストの高騰や草刈り等の管理の問題などから収支が赤字となり、受託できない状況となったり、耕作放棄地も増大していますので、本庁と支所が連携した行政のリーダーシップにより、早期実現を求めております人・農地プランの実質化についても、各地域の状況を確認して早急な実施をお願いし、次の質問に入ります。 次の質問は、将来にわたって国際情勢や世界各地の大規模自然災害などの影響が少ない安定した農業経営を行い、市の農業振興を図るための今後の取組について伺うものです。 これは、国が中長期的な観点から、調達、生産、加工・流通、消費の各段階の取組とカーボンニュートラル等の環境負荷軽減のイノベーションを推進するみどりの食料システム戦略が、2050年までに目指す姿に向けた取組であります。 市ではこれまで、トマトやホウレンソウなどでぎふクリーン農業に取り組み、化学肥料、化学合成農薬などの資材の適正使用や、代替技術・資材の積極的活用、土づくりとリサイクルなどを進めてきていると思いますが、これからはみどりの食料システム戦略を高山市にふさわしい方法で実践することにより、化学肥料や化学農薬の使用量を低減し、有機農業の取組面積も徐々に増やしていかなければなりません。そのためには、関係団体や農家の方々などの理解を得る必要があり、多くの課題もあると思いますが、この取組は地域資源を生かした地域経済の好循環を生むことにつながるものと期待をしております。 そこで、今後、肥料、燃料、農薬、資材が高騰しても、将来にわたり農家が安定した農業経営を行うことができるよう、市として、世界の食料の需給や円安などの影響が少ない有機農業や減農薬などのクリーン農業、自然エネルギーの活用に注力する必要があるのではないか、市の考えを伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 世界の様々な情勢が農業経営に影響を及ぼす中、化学肥料や化学農薬の原料に係る国際市況の影響を受けにくい有機農業への転換や減農薬への対応及び地域循環生産の仕組みづくりは大変有効であり、重要な取組と捉えております。 現在、国では持続可能な食料システムの構築に向け、みどりの食料システム戦略を策定し、有機農業については2050年までに耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を平成30年の0.5%、約2万3,700ヘクタールから25%、100万ヘクタールに拡大すること、それから、化学農薬使用量については2050年までに50%低減すること、化学肥料については2050年までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減するなどの方針を示しています。 こうした国の方針を踏まえ、関係機関と持続可能な農業の構築に向けた協議を進めているところですが、市内の農業生産をすぐに有機農業などに転換することは、安定した品質、収量の確保、栽培方法の確立、手間に見合った販売価格設定などの課題があり、難しいと捉えています。 今後、国のこうした戦略に基づきまして、堆肥等の有機資源の活用や化学肥料の削減といった持続可能な農業を推進していく中で有機農業の取組が増えていくよう、引き続き農家や関係機関と連携し、取り組んでまいります。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) そうしたことが進められるように、農業環境、またしっかり整備をお願いしたいというふうに思います。 高山市の農業は、食文化はもちろん、豊かな自然や美しい景観、田園風景、情緒、風情など、飛騨高山の魅力を維持し、観光客の皆さんも魅了する基幹産業ですので、できるだけ外的要因に左右されず、内発的な経済効果を高める施策の推進をお願いしたいというふうに思います。 食料安全保障と農業振興対策についての最後の質問は、高山市の農業を下支えする小規模な自給的農家の推奨、支援についてであります。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、リモートワークなど社会のデジタル化が進み、コロナ禍は私たちの生活に大きな価値観の変化や新たな価値観を見つめ直すこと、それから、時代や場所にとらわれない働き方に気づかせ、地方移住や田舎暮らしをする動きも出てきております。 そんな中で、大阪市立大学の松永桂子准教授は、自給的農家にもっと注目をというタイトルの新聞記事で、このように書かれております。 コロナ禍は家庭菜園も盛んにした。人間は本来、自然との触れ合いを求める存在。農業の後継者不足は深刻だが、最近20年間で半減した中・大規模農家に比べ、本業や趣味を持ち、副業的に農業を営む少量生産の自給的農家の減少は1割未満にとどまる。自給的農家にももっと光を当てる必要がある。こうした自給的農家の存在は、農産物直売所、道の駅や地域の農産物加工品づくりを豊かにし、農業を見える形にしてくれる。 実際に、高山市でも自給的農家は、道の駅の直売所や農産物加工品づくりでも活躍されるとともに、各家庭での米や野菜作りなどは、生きがいや健康長寿の延伸などにも大きな効果があると考えられます。こうしたことにもっと注目し、推奨、支援すべきではないかと考え、質問いたします。 ○副議長(谷村昭次君) 林農政部長。   〔農政部長林篤志君登壇〕 ◎農政部長(林篤志君) 現在、市内における販売農家の割合は56%、自給的農家は44%となっています。兼業農家を中心とする小規模経営が市の農地の約6割を占めており、自給農家、小規模農家は、市の農業を持続的に支える貴重な担い手であるというふうに捉えております。 加えて、自給農家、小規模農家などの形態は、少量多品目の生産物を栽培し、地域の直売所に出荷するなど、専業農家では補うことのできない品目を生産される方もおみえになり、多様なニーズを満たしていると考えております。 現在、市としましては、こうした自給農家、小規模農家に農業を継続していただけるよう、地域の特産物の普及に対する支援やブランド化の推進などに取り組んでいます。また、地産地消を進めるため、マルシェの開催、生産者と実需者の結びつけも行っているところです。 また、令和3年9月には非農家への農地利用を促進させるための要件緩和を行い、主に担い手が担い切れない農地の有効活用を進めるとともに、半農半Xのような形態を望む方もみえる中、副業的な農業といった間口の広い受入体制を整備することで、多様な担い手の確保に努めているところです。 今後も、こうした取組を充実させ、様々な形態の農家が生き生きと農業を継続できる基盤づくりに努め、農村地域力の維持向上、または持続可能な農業につなげてまいりたいというふうに考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) 今ほどお話がございましたように、市の施策も年々充実をしていただいているということ、十分承知をしております。自給的農家につきましては、米作りの継続というのも大きな課題となっておりますので、何らかの支援策もまた検討、ぜひ早急にお願いしたいというふうに思います。 それでは、2つ目の項目、人口減少社会に適応した移住・定住対策についての質問に移らせていただきます。 このほど、厚労省の人口動態統計により、2021年生まれの赤ちゃんの数、出生数が81万1,604人で、統計開始以来、最少となったことが分かりました。80万人の大台割れが目前に迫り、推定より6年も早く少子化が進行しているということでございます。 高山市第八次総合計画では、2045年の人口を6万3,000人と推計し、高齢化率は42.1%になると見込んでおり、これによると、人口は現在の約8万5,000人より約2万2,000人、4分の1減少することになりますが、今回の発表によりさらに少子高齢化が加速し、人口減少に拍車がかかることが懸念されます。 八次総では、2045年の人口の将来展望を7万1,000人と推計し、15歳から64歳の生産年齢人口も約3万5,000人と将来展望している中で、どれだけでも人口減少の速度を緩め、出生率を高める上でも、特に若い人たちの移住、定住を進めることは、重要な施策であると考えております。 そこでまず、これからの市の移住、定住の取組について質問をいたします。 市では、令和3年4月に策定した高山市移住戦略により移住・定住施策を進め、移住者ネットワークの立ち上げや移住コーディネーター制度の創設により、飛騨高山ふるさと暮らし応援メニューも充実してきていますが、コロナ禍での地方移住への機運の高まりや自治体競争の激化、テレワークやワーケーションという新しい働き方が広がる中で、どのような施策の展開を図っていくのか伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 清水飛騨高山プロモーション戦略部長。   〔飛騨高山プロモーション戦略部長清水雅博君登壇〕 ◎飛騨高山プロモーション戦略部長(清水雅博君) 市では、昨年4月に策定いたしました高山市移住戦略に基づき、移住促進のための体制を強化しております。 相談体制を充実するために、移住に関する情報や支援をワンストップで進め、それぞれの移住検討者に見合った丁寧な対応を行う移住相談窓口として、飛騨高山移住定住サポートセンターを昨年度設置したほか、今年度は、移住検討者が安心して移住を決断し、移住後も地域に溶け込みながら楽しく安定した生活ができるよう、移住前後の生活の不安や悩みに寄り添い支援する、高山市移住コーディネーター飛騨高山暮らし案内人を配置、また、移住者同士の交流や飛騨高山の暮らしを発信していただくために、移住者ネットワーク組織、ツラッテを発足したところであります。 議員おっしゃるとおり、移住体験施設の利用者やふるさと暮らし補助金の利用者でも、テレワークに起因する方が増加してきておりまして、新たな働き方としてテレワークが浸透してきていることを認識しているところであります。 また、観光地やリゾート地でテレワークをし、働きながら休暇を取る、ワーケーションの需要を見込み、民間の専用施設が奥飛騨温泉郷にも開設をされております。 市では、特定創業支援事業補助金において、テレワークやワーケーション施設を開業する事業者も支援しており、こうした施設とも連携し、中長期滞在、訪問の高頻度化を促進し、関係人口から移住、定住へと段階的に関わりを深めていきたいと考えております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) ただいまお話がありましたように、市でもいろいろな施策を考えて、新たな取組にもチャレンジしているという状況はよく分かりました。実際、その効果もかなり現れてきているなというふうに感じております。 令和3年度の実績については、まだ県から発表されておりませんので、令和2年度の移住・定住実績になりますが、県内の市町村別の移住者数を見ますと、高山市への移住者は264人と県内で一番多く、前年より10人増加しております。これには、飛騨高山のブランド力も大きいと感じますけれども、市の新たな取組や関係部署の連携などが結果として現れてきているものと評価できるというふうに思います。 そうした中、県内の移住・定住実績で目を引くのが郡上市です。郡上市の人口は高山市の半分以下、約4万人で、令和2年度の移住者数は97人でしたが、前年より34人、高山市の3倍以上の伸びを示しています。 郡上市では、テレワークのまちの推進から郡上の課題を解決するビジネスの創出へと、2015年度には市が緊急支援交付金を活用し、最新の設備とセキュリティを備えたコワーキングスペース、HUB GUJOを整備、企業のサテライトオフィスとしても、個人のワーキングスペースとしても積極的に活用されております。 ここでは、2015年から2020年の5年間だけでも、HUB GUJOに集まった個性豊かな50人を超える移住者コミュニティにより、23の新規事業が始動しております。 HUB GUJOはNPO法人が運営しており、郡上市を訪問して、現地も御案内いただき、お話を伺ってきましたが、これは高山市でも大いに参考となる事例と考えます。 高山市でも若い世代が集まってコミュニティを育み、ITの力も活用して高山の課題を解決する新事業を創出するような、そうした広がりのあるような新たな取組、文化も育むような取組、そうしたものを進めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。 ○副議長(谷村昭次君) 清水飛騨高山プロモーション戦略部長。   〔飛騨高山プロモーション戦略部長清水雅博君登壇〕 ◎飛騨高山プロモーション戦略部長(清水雅博君) 議員御紹介の郡上市の施設ですけれども、NPO法人が運営されている共用のサテライトオフィスとして、観光客も利用できるような施設というふうに伺っております。 市でも、サテライトオフィスのほうは予約制ではありますが、設置をさせていただいておりますし、4月にはにぎわい交流施設大政のほうが宮川河畔にオープンをし、無料Wi-Fi等が利用できることから、テレワーク的な利用も一部ではあるようでございます。 市でもこうした施設の設置についてというよりは人をつなげて、ツラッテの紹介をさせていただきましたけれども、そういった人と人をつなげるようなことから高山市の発信を強化して、新たな移住者を呼び込むというふうでやっているところでありますけれども、郡上市、隣の市でもありますし、一度施設のほうは視察もさせていただいて、担当の方の御意見なんかも聞かせてもらいたいと思っております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) HUB GUJOの場合ですと、非常に広い空間のスペース、中央にスペースがありまして、オフィスは周りにあるんですけれども、幾つも、その中に皆さんが集まって、いろいろなことを相談したり、情報交換をしたり、自由にその辺を組み替えて活動できるようなスペースになっていますので、また一遍お話を伺って、若い人たちのまたそういう広がりがそこでつくられているようですので、ぜひお願いをします。 また、市内各地域で使われていない公共施設ですとか、スキー場のヒュッテですとか、空き家等も含めて、コワーキングスペースやワーケーションのできる場所を調査して、中心、高山市街地だけではなくて、ほかの、高山市、非常に広いですので、各地域にそういったところができて、そこに都心部からも若い人たちが始まってきて、いろいろなことを始めると、各地域には地域資源もいっぱいありますので、そういうものが生かされていくと、そういった広がりがつくれるような取組をぜひまたお願いしたいというふうに思います。 郡上の場合ですと、ウィズ・アフターコロナに対応した新たな滞在スタイルとして、源流の自然環境や郡上の生活文化にも触れられる、郡上ならではの源流ワーケーションというものにも今取り組まれておりますので、参考になると思います。 次に、コロナ禍で見られる変化の中で、いま一度注力する必要があるのではないか、チャンスが生まれるのではないかと考えている企業誘致について質問をしたいと思います。 高山市移住戦略によると、他県から高山市へ移住の決め手となったのは、住居があるが27.2%と最も多く、次いで就労の場があるが24.1%、移住者が充実してほしかった支援は、就職支援がトップの27.8%を占め、働く場所が非常に大きく左右することが分かります。 また、先週、「地域の持続可能性、低下 女性の東京一極集中が加速」という新聞見出しが目に留まりました。近年、男性よりも多くの女性が東京圏に移り住む女性の東京一極集中が起きている。若い女性が転出超過となった地域では、人口減少に拍車がかかり、持続可能性が低下するというのです。 コロナ禍でもあり、これまではなかなか他県へ出向いて、企業を始めとした十分な企業誘致活動ができなかったことと思いますが、都市部には高山市出身であったり、高山市とゆかりのある経営者がたくさんおられるはずなので、課題を検討し、そうした方々に積極的にアプローチすることは重要であると考えます。 そこで、高山市産業振興計画では、「本社機能の移転や工場などの新設・増移設、新エネルギー供給業の立地などの企業立地優遇制度の活用による新たな産業立地」を促進するとしていますが、市の取組状況と課題は。 また、新型コロナウイルス感染症や働き方改革に対応した人口減少対策として体制を整備、充実し、大企業などの本社機能や研究開発拠点の誘致を積極的に進めるべきではないか、市の見解を伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 倉畑商工労働部長。   〔商工労働部長倉畑政之君登壇〕 ◎商工労働部長(倉畑政之君) 市では、高山市産業振興計画において、情報通信産業を始めとする新たな産業の立地、企業経営の多角化、新分野への進出などを促進し、経営基盤の強化、産業構造の多様化を図ることを基本方針の1つに位置づけております。そうしたことから、本社機能の移転や工場などの新設、増移設、新エネルギー供給業の立地などの企業立地優遇制度の活用による新たな産業の立地の促進に取り組んでいるところでございます。 近年の企業誘致の状況につきましては、新たに高山市企業立地補助金の助成対象として指定した事業所が、令和2年度に製造業で1社、令和3年度に製造業で2社、令和4年度に入ってからは農業で1社、新エネルギー供給業が1社となっておりますが、地理的条件等によりまして、大規模な企業の立地というのは、なかなか難しい状況にあります。 一方で、全国の動きに目を向けますと、新型コロナウイルス感染症の対応を契機に、都市部の企業においてはリモートワークが急速に普及しまして、場所を選ばない働き方が加速しました。 また、企業のBCP(事業継続計画)の観点からも、地方移転する動きが見られるとともに、国においても地方拠点強化税制を拡充するなど、都市部の企業の本社機能移転を積極的に後押ししているというところでございます。 人口減少が続く地方都市において、企業とその社員の転入を期待できる本社機能の移転につきましては、地域経済や社会に大変前向きでポジティブな効果が期待できるということから、積極的に取り組む必要があるというふうに捉えております。 その交渉に当たりましては、議員おっしゃられるように、高山市と御縁のある方などとの関係性もしっかり大切にしながら、粘り強く信頼関係を築き、誘致につなげていきたいというふうに考えております。 また、大企業の本社機能や研究部門などの移転というものにつきましては、移住者の増加や若者の就職の選択肢の拡大に加えて、本社の研修施設を訪れる数多くの社員や関連企業の皆様といった交流人口の増加も見込まれます。 地域への経済波及効果が非常に大きいものであると捉えておりますので、これは諦めることなく、引き続き、誘致につながるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) 石川県の小松市に、御存じかと思いますが、創業地の石川県への地元回帰を中心とした本社機能や工場の地方への分散を進めてきた、建設機械大手のコマツがあります。 コマツは、本社の教育研修組織と複数拠点に分散する研修施設も統合して、小松市に総合研修センターを開設し、一連の地元回帰で150人以上の社員が本社などから石川県へ転勤したということでございます。 コマツの地方回帰の成果は、女性社員の出生率の飛躍的な向上や、社員の生活の豊かさ、退職者の健康長寿の延伸などに現れておりまして、コマツの研修センターは、地元の子どもたちの理科の教室とか、物づくりの教室の場になっているというようなことも伺っています。 高山でも今後、人員体制をしっかり整えていただいて、調査や訪問を行ってもらって、高山のブランド力も生かしてもらいながら注力すれば、大いにチャンス、可能性はあると思いますので、今ほど答弁ありましたが、ぜひ積極的な誘致、これからも取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。 それでは、最後に、3つ目の項目、訪日外国人観光客受入れの対応策と、海外戦略の成果、展望について質問をいたします。 初めに、対応策についてですが、国は6月1日から1日当たりの入国者数上限を1万人から2万人に倍増し、10日からは新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で往来が途絶えて以降、約2年ぶりに訪日外国人観光客の受入れが再開されました。 世界経済フォーラムが発表した21年版旅行・観光開発ランキングでは日本が1位となり、観光は日本にとって成長が見込める数少ない産業でもあるため、訪日観光への期待は大きく、高山市の地域経済にとっても、大きな追い風になるものと思われます。 しかしながら、コロナがいまだ収束しない中で、市民の皆さんからは外国人観光客の受入れに対する不安の声も聞き、先日の新聞記事では、インバウンドの受入再開については少し光は見えてきたのかなと感じる一方で、まだ早いんじゃないのかなという不安な気持ちのほうが大きいですという市内旅館のおかみの率直な気持ちも目にします。 そこで、受入れは当面、添乗員が同行するパッケージツアーに限定するなどとしておりますけれども、国際観光都市として、安全・安心な外国人観光客の受入れに向けた対応策について伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 清水飛騨高山プロモーション戦略部長。   〔飛騨高山プロモーション戦略部長清水雅博君登壇〕 ◎飛騨高山プロモーション戦略部長(清水雅博君) 議員おっしゃるとおり、国のほうでは、訪日外国人観光客の団体旅行の受入れを6月10日から開始をしました。それに先立ち、観光庁では、旅行会社向けのガイドラインのほうを公表しております。 ガイドラインでは、ツアー造成や販売に当たって感染防止のために留意すべき事項や、陽性者発生など緊急時における旅行業者、宿泊事業者等の観光関係者が取るべき対応が示されております。 具体的には、ツアー参加者に対するマスクの着用などの基本的な感染防止対策の徹底や、民間医療保険への加入、訪問先の施設における感染防止対策の確認、陽性者発生時における緊急時の対応などが具体的に示されており、旅行会社はこのガイドラインに従いツアーを実施することになります。 このガイドラインは、市内の観光関連事業者に周知させていただくとともに、外国人観光客の受入れに対する市民の不安解消のため、市のホームページでも掲載し、周知を図っているところであります。 また、市内の医療機関の負担を軽減し、外国人観光客の方が安心して市内に滞在していただけるよう、5月1日からは外国人の医療に関する相談を受け付けるワンストップ医療相談窓口を設置し、外国人観光客の受入環境の整備にも取り組んできたところであります。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) いろいろな不安を取り除くような広報活動の充実を図っていただいたり、また、今ほどもお話がありましたけれども、医療機関との連携とか、万一、感染者が急増したときなどの対応も含めて、万全な体制を取っていただくようによろしくお願いします。 次に、最後の質問となりますが、高山市の海外戦略の成果と、今後の展望について伺います。 高山市の外国人観光客の宿泊者数は、東日本大震災の影響により一旦落ち込んだものの年々増加し、コロナ禍前の2019年には、過去最高の約61万2,000人に達しました。 今年は小泉内閣による観光立国宣言から20年目になるということですが、高山市においては、これまでずっと積み上げられてきたものの上に國島市政がそれを押し上げ、積極的に直接誘客に結びつく旅行会社や政府関係機関などとのつながりをつくり、取り組むことで、国内、海外で評価される国際観光都市になったように感じております。 また、高山市を起点にした広域連携観光ルートを官民で進めることにより、広域的な誘客につながる海外戦略を進め、高山市に来ていただく動線をつくったことも大きいと思います。 海外戦略は地域経済にも大きく貢献してきましたが、これまでの海外戦略の成果をどう捉えているか。また、アフターコロナという次のステップへの海外戦略の展望について伺います。 ○副議長(谷村昭次君) 國島市長。   〔市長國島芳明君登壇〕 ◎市長(國島芳明君) 私が市長に就任をいたしました平成22年は、高山市の人口も、あるいは国内の総人口も、既にもう減少時代に入っておりました。将来の高山市の雇用、あるいは経済を維持していくためには、高山市の主要産業である観光は、国内市場だけでなく、やはり海外市場の成長を取り込むことが重要であると考えたところでございます。 就任後間もなく、海外からの誘客と市内産品の輸出促進、そして国際交流促進による市のプレゼンス向上、これを一体的に行うために、専門部署であります海外戦略室を設置させていただきました。海外戦略を強化したのは、そうした経緯からでございます。 案内表示やホームページ、あるいはパンフレットなどの多言語化、それからWi-Fi環境の整備など、バリアをなくす受入環境の整備を行うとともに、民間事業者の皆さんと共に積極的なプロモーションを行いました。 その結果、コロナ前の令和元年には外国人宿泊者数は、先ほど御紹介いただいた、61万人を超える過去最高を記録したところでございます。 これは、全宿泊者数の約3割に当たる人数でございます。国内市場の減少分を補いまして、経済を維持するという当初の目的は、一応達成できたのではないかというふうに考えておるところでございます。 国家間の関係や為替といった外部要因に大きく左右されないようにバランスも考慮して、ターゲットを定めてプロモーションなどを行ってまいりましたけれども、パンデミック、いわゆるコロナ、これにより全世界へと渡航できないような現在の状況は、正直、想定しておりませんでした。 しかしながら、コロナ発生からもう2年余りが経過して、先ほど御紹介いただいたように、インバウンドの兆しも見えてまいりました。引き続き、感染対策の徹底を図りながら、こうした動きを歓迎して、インバウンドの誘致に向けた準備を進めさせていただきたいと、今そう考えております。 今後につきましては、新しい市長の方針に委ねていくことでありますけれども、この先も人口減少が続くことが予想されている中、新しい市長におかれましても、海外とのつながりから、持続可能なまちづくりを目指す重要性はお考えになられるものと思料いたしております。 ○副議長(谷村昭次君) 西本議員。 ◆3番(西本泰輝君) これまで高山市政、長年にわたり積み重ねられてきて、それが今度、国際交流、そして海外戦略とまたつながってきていること、そういったものはこれから次のステップにまた入っていくのかなというふうに思っております。 私は新型コロナという未曽有の危機により、これまで休まず走り続けてきた高山市の観光も海外戦略も一度立ち止まり、原点に返って、大切にしなければならない飛騨高山の本物の魅力を見つめ直す機会をいただけたのではないかというふうに思っております。 国内から訪れる人も、海外から訪れる人も、これからはもっと深い観光がしたい、日本一広い高山市の各地域に息づく特色ある自然や文化、景観、風習、有形無形の伝統文化や経験、技術を持った人々たちとの交流、食も含めて自ら体感したいと、そんなふうに価値観が変わっていくような気がしております。 外国の人たち、海外と接し、共に理解を深めることで、自分自身や自分の生活、地域文化などに気づき、見つめ直す機会にもなる国際交流、市の新たな次のステップへの海外戦略の展開に期待をしまして、また、世界平和を願って、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(谷村昭次君) 以上をもって、西本議員の質問を終わります。  ―――――――――――――――― ○副議長(谷村昭次君) 休憩します。     午後3時57分休憩  ――――――――○――――――――     午後4時10分再開 ○議長(水門義昭君) 休憩を解いて一般質問を続けます。  ―――――――――――――――― ○議長(水門義昭君) 次に、西田議員。   〔8番西田稔君登壇〕 ◆8番(西田稔君) 先ほどツイッターを見ておりましたら、いよいよ東海地方も梅雨入りかというツイートが流れておりました。今朝の天気予報では明日は雨予報だったんですが、今見ると曇りに変わってきています。大雨による土砂災害も怖いですが、雨不足による農作物への影響も心配されるところです。 それでは、通告に基づき、一般質問を行います。 最初の質問は、土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定についてであります。 今年3月、県は今後指定する予定の土砂災害(特別)警戒区域に住む住民宛てに文書を配布しました。表題は「土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定に関する説明について」とありました。 以下のような内容です。 近年、各地で土砂災害が多発しており、県では、自然災害から生命と財産を守るため、土砂災害による被害を防ぐための施設、この施設というのは、砂防堰堤であったり、防護擁壁であるということですが、こういった施設を整備するとともに、被害のおそれがある区域を土砂災害警戒区域あるいは土砂災害特別警戒区域として指定し、その危険性を住民の皆様にお伝えする取組を行っています。土石流及び急傾斜地の崩壊のおそれのある区域の調査が完了をしましたので、その区域を警戒区域等に指定する予定ですという内容の通達だったんですが、図が同封されておりまして、このようにありました。 同封する図面や地番図を御覧いただき、皆様のお持ちの土地が区域に入っていることを御確認いただくとともに、新しく住宅を建築する際に制限が発生することなどについて御承知おきいただきたく存じます。本来であれば、指定前に説明会を開催し、御意見等を拝聴するところですが、新型コロナウイルス感染症対策の継続、実施のため、説明会は開催せず、本郵送書類による書面での説明に代えさせていただきますということであります。 その添付資料ですが、土砂災害警戒区域等の指定の公示に係る図書その2。そして、もう一つが公図等転写連続図。それを見て不思議に思ったのが、県が作ったその図面に示された黄色い枠で彩られた土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーン、高山市のハザードマップを重ねてみると、市のものは同じ区域ですが、赤で彩られて、そこはレッドゾーンになっていると。 そこで質問です。 市が作成しているハザードマップと県が指定し公示している土砂災害警戒区域の改定時期に差異があるが、優先度についてどう考えるか、御答弁をお願いいたします。   〔8番西田稔君質問席へ移動〕 ○議長(水門義昭君) 荒城総務部長。   〔総務部長荒城民男君登壇〕 ◎総務部長(荒城民男君) 土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定につきましては、県が計画的に調査を実施し、調査結果を住民や地権者に説明した上で、市にも意見聴取し、順次区域等の指定をし、公示をしているところでございます。 一方、市ではハザードマップにつきまして、市民の方が御自宅等で広げて見られるよう、紙ベースで5年ごとに作成をしていることから、県が新たに警戒区域等を指定したり見直した際には、差が生じることになります。 今回議員御指摘の場所につきましても、県の調査が行われたことにより、これまでの指定がレッドゾーンからイエローゾーンに変更されることとなったため、県においてその内容を地元の皆様にお知らせするため、通知されたものでございます。 市のハザードマップにつきましては、次回、令和5年度に更新を予定しており、その際には最新の情報を基に作成をするため、差異は生じなくなりますが、その後も県が随時指定を見直すたびに、見直した箇所については差異が生じることとなることから、地域の方が混乱しないよう、県と連携して対象地域への丁寧な説明を行うとともに、最新の情報について県のホームページに掲載されている旨を、市のホームページや窓口、出前講座等で御案内をさせていただいております。 広報たかやま、今回の6月号においても、郵便番号を入力することで、簡単に素早く最新の警戒区域等を確認できる県のホームページ、ぎふ山と川の危険箇所マップについて紹介をさせていただいているところでありまして、今後も丁寧な説明や周知に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) 次は、土砂災害防止法に基づく区域指定等についてのQ&Aから質問をさせていただきます。 イエローゾーンやレッドゾーンに指定されるとどうなるのかという素朴な疑問です。 イエローゾーンは、土砂災害が発生した場合、住民の生命、身体に危険が生ずるおそれがあると認められる区域であり、市による警戒避難体制の整備が義務づけられ、レッドゾーンは、土砂災害警戒区域のうち、建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域であり、特定開発行為が制限されているほか、居室を有する建築物の構造規制がある。イエローゾーンは一般の方には法律による義務、規制はないが、宅地建物取引業者は不動産取引の際に、土砂災害警戒区域に指定されている旨を記載した書面、重要事項証明書を取引の相手方に交付し、説明を行わなければならないとされています。 土砂災害警戒区域の住民が気になるのは、税の減免についてだと考えます。土砂災害警戒区域のうち、レッドゾーンに指定された土地は、建築物への構造規制や特定開発行為の許可制などの制約が発生することから、評価額に対して30%の減額補正が適用されています。 そこで次の質問です。 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)にある住宅の固定資産税にも課税の優遇措置を取り入れるべきではないかと考えるが、どうか。 ○議長(水門義昭君) 平野財務部長。   〔財務部長平野善浩君登壇〕 ◎財務部長(平野善浩君) 土砂災害特別警戒区域、レッドゾーンでございますが、これに指定されている宅地の固定資産税の評価については、土地の造成や建築への法令等の規制があることを考慮し、3割の減価補正を行っておりますが、土砂災害警戒区域、イエローゾーン、これに指定されている宅地については、法令等による規制がないことから、個々の土地に対する減価補正は必要ないというふうに考えております。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) 次の質問は、東京大学大学院情報学環特任教授片田敏孝先生の論文からであります。 先生はこれまで、想定にとらわれるな、ハザードマップなんて信じるなと言ってきた人です。ハザードマップは一方的なインフォメーションツールではなく、その本質はリスク・コミュニケーションツールであると先生は言っています。 そこで、次の質問ですが、ハザードマップでは危険区域や避難に関する情報を住民に伝えています。しかし、頻発化している災害に備えるためにも、地域住民によるリスク・コミュニケーションツールとしての活用が求められるのではないでしょうか。 ○議長(水門義昭君) 荒城総務部長。   〔総務部長荒城民男君登壇〕 ◎総務部長(荒城民男君) 市のハザードマップには、土砂災害警戒区域や浸水想定区域のほか、避難所や避難経路、さらには、住民から聞き取った過去の浸水情報などを掲載しております。 このハザードマップを有効に活用していただくためには、議員お話しのとおり、いつ災害が発生しても冷静な対応ができるよう、家族や地域住民が日頃から避難方法などについて話し合う、コミュニケーションツールとして活用していただくことが重要であると考えております。 市では、出前講座や防災リーダーのフォローアップ研修などで、ハザードマップの見方についてや、実際にマップを手にまちを歩いて自宅の周りの危険箇所や避難所を確認することで、災害が発生した際にその災害の種類ごとに避難経路を変えていただくといったことなどについて、日頃から災害を想定した意識を持っていただくようお願いをしているところでございます。 また、共助による地域防災力の向上を目的とした、地域で策定する地区防災計画においても、地域の地理特性を踏まえた避難対策などが取られるよう、ハザードマップを十分に活用した計画づくりについて、策定のアドバイスをさせていただいているところでございます。 次回のハザードマップには、1,000年に1回の大雨による洪水浸水想定区域などについても掲載をすることとなっておりますが、ハザードマップを様々な場面や場所で有効に活用していただくため、分かりやすい内容にする工夫をして作成するとともに、その活用方法などについて広く周知に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) 次の質問は、効果的な救急搬送の在り方についてであります。 ある自治体の「救急車の適正利用にご協力をお願いします。」という文書をここで紹介させていただきます。 近年、軽い症状でも救急車を利用する人が増え、社会問題になっている。このような状況が続くと、事故による大けがの人や、心筋梗塞、脳卒中などで緊急に病院などへ搬送する必要がある人への救急車の到着を遅らせることになる。119番通報する前に、救急車が本当に必要か、自家用車やタクシーなど一般の交通機関を利用できないか、もう一度考えてくださいとあります。 続きがありまして、こういうふうに書かれております。 ただし、「命に関わる病気やけがで病院へ行かなければならない場合は、迷わず119番通報してください。救急車を本当に必要とする人のために、皆さんの御理解と御協力をお願いします」というふうに書かれておりました。 そこで、救急車を呼ぶべきか否か相談ができる窓口があるということを知りました。それは♯7119というものです。 新聞記事から紹介させていただきます。 「迷ったら、♯7119広がるか」。 広がるかどうかという疑問を呈している新聞記事だったんですが、24時間体制で対応する岐阜市消防本部の救急安心センターぎふ。委託先のコールセンター会社が運営し、常時1人から2人の相談員が、吐き気はありますかとか、自力で歩けますかといったふうに腹痛を訴えてきた利用者から症状を聞き、すぐに救急車を呼ぶべきか、または、あしたで構わないので、自分で車を運転して、あるいは公共交通機関で病院に行くのがよいか等々、緊急度を判断する。看護師の資格を持つ相談員の女性は、利用者とのやり取りでは相手の言うことを否定せず、丁寧に答え、素早く緊急度を判断しなければならないと語っておられました。 ♯7119は現在、岐阜市と近郊市町でつくる市消防本部など、一部地域も合わせ、12都道府県と6地域で導入されております。大都市中心で、中部地方では岐阜市消防本部が唯一。導入済みの都道府県から電話をすると、救急安心センターぎふへつながるという仕組みだそうです。 そこで質問させていただきます。 救急車の適正利用につながるとされる♯7119について、市はどう考えるか。 ○議長(水門義昭君) 松山消防長。   〔消防長松山孝生君登壇〕 ◎消防長(松山孝生君) 議員御紹介のとおり、救急安心センター事業(♯7119)は、救急車の適正利用につながることが期待されます。 令和3年1月29日付総務省消防庁救急企画室から、救急安心センター事業(♯7119)の全国展開についてとして、全国どこからでも♯7119番がつながる体制の構築を目指すことが通知されています。 現在、先ほどのお話のとおり岐阜県内では、岐阜市とその近郊市町において導入されていますが、救急安心センター事業の導入に要する費用について、令和3年度から都道府県または市町村の財政負担に対して、新たに特別交付税措置を講ずるとされたことから、県健康福祉部医療整備課長より救急安心センター事業について、岐阜県として導入することへの意見照会がされたところです。 市における軽症の方の救急搬送状況は、令和2年、令和3年ともに全体の3割を占めています。引き続き、救急車の適正利用については、広報紙やホームページ等による啓発、また、休日、夜間等の診療可能病院案内などを行いながら、県が導入を検討している救急安心センター事業について、市と市町村の費用負担割合や運営方式、効果などについて確認を行いながら、関係部局とも情報を共有し、検討してまいります。   〔「ここが違う」と呼ぶ者あり〕 ◎消防長(松山孝生君) 失礼いたしました。最後のところをちょっと言い間違えました。県が導入を検討している救急安心センター事業については、県と市町村の費用負担割合、また、運営方法、効果などについて確認を行いながら、関係部局とも情報を共有しながら、検討してまいります。失礼しました。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) ただいまの消防長の御答弁、検討していただけるということですが、もちろん課題もあるということで、例えば現状では、先ほども紹介させていただいたとおり、1名から2名の体制でコールセンターを運営しているものですから、電話が集中する時間にはつながらないことがあると。岐阜市の♯7119は2回線、2人でやっているものですから、3人目以降の電話回線がないため、前の利用者の電話が終わるまで待たなければならないと。こうしたことが重なれば、つながらないという不信感を持たれかねません。 また、運営する自治体にとっては、費用対効果の検証も必要でありまして、看護師を多数配備すれば人件費が膨らんで、費用に対する効果が見えづらくなるということもあるそうです。 これは愛知県のある医科大学なんですけど、医科大学病院高度救命救急センターのセンター長は、こういうふうにおっしゃっています。高齢者が増えて救急医療の必要性が増す中、適切な119番は今後さらに重要になる。♯7119の普及に向けて、まずはより広く存在を知ってもらうことが必要。都道府県レベルで導入すれば、広報しやすく、効果も得られやすいというふうに話しておられるそうです。 次の質問は、病院前救護体制についてであります。 病院前救護体制とは、救急患者に対して初期治療を行いながら、救急医療機関に搬送するまでの救急医療体制のことであります。プレホスピタルケアとも呼ばれているそうです。 高山市においても、プロトコルという救急現場及び搬送途上での処置、搬送の手順書を策定し、実行しておられるとのことですが、そこで質問させていただきます。 市は、病院前救護体制をどのように行っているか、御答弁をお願いいたします。 ○議長(水門義昭君) 松山消防長。   〔消防長松山孝生君登壇〕 ◎消防長(松山孝生君) まず、病院前救護体制について説明します。 病院前救護体制とは、119番通報から医療機関へ傷病者を収容するまでの体制のことでありまして、岐阜県下では岐阜県メディカルコントロール協議会を中心に次の取組を行い、救急隊員の質の向上を図っております。 その基本を3つの柱で構成しておりまして、1つ目は、救急隊員の事前教育の充実、2つ目は、科学的根拠に基づいたプロトコル、いわゆる手順書に沿った現場活動と、医師の助言、指導による処置を行うこと、3つ目は、活動後の指導医師による事業検証を行うこととしており、常に活動における質の向上を図ることを基本としております。 市の救急隊におきましても、救急救命士の定期的な病院実習や、医学的知識向上のための研修、医師との顔の見える関係構築に努めており、現場活動では、岐阜県救急隊(消防隊)活動プロトコールに沿った活動と、医師との緊密な連携により傷病者の救護を行い、活動後は、科学的根拠に基づいた事後検証を受けて、次の救急活動の質を上げるためにつなげているところでございます。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) 次の質問です。 ある自治体では、通信会社との連携により、救急隊が傷病者を搬送し、病院で処置を開始するまでの時間短縮を図ることを目的に、救急搬送デジタル化事業の実証試験を開始したということです。 現場の状況や傷病者の状態を医師や消防署に映像伝達するため、特殊な眼鏡、ARグラスというものだそうですが、特殊な眼鏡を装着した救急隊員が出動して、現場で撮影した映像、撮影したというか、見たそのままの映像を消防署が現場状況をより詳しく把握する、また、病院側が受入体制を整えたりすることに活用をいたします。 ちなみに、ARグラスのARは、Augmented Realityの略で、拡張現実のことだそうです。 あわせて、この自治体では、Live119という実証試験も行っております。119番通報時に音声のみでは把握が困難であった現場の状況を、通報者のスマートフォンのビデオ通話で現場の状況映像を共有することで、より迅速で的確な救命措置につなげます。 119番通報をすると、状況に応じた応急処置の指示を行うため、消防署からビデオ通話を求めることがあります。通報者は消防署からスマートフォンに送られてくるショートメッセージを読み込んで、通話を行うというものだそうです。 そこで質問です。 ARグラス等を使った救急搬送デジタル化事業の実証実験を行っている自治体もあるが、市では導入されないのでしょうか。 ○議長(水門義昭君) 松山消防長。   〔消防長松山孝生君登壇〕 ◎消防長(松山孝生君) ただいま議員の御紹介いただきました救急隊員へのARグラス等を使った救急搬送デジタル化事業につきましては、宮崎県の都城市消防局において実証実験が行われまして、様々な角度でその有効性の検証が行われているものと認識しております。 この実証実験は、先ほどのお話のとおりですが、救急隊が装着したカメラの映像を通して、病院が現場の状況を把握し、受入準備や処置開始までの時間短縮を図ることが目的とされていると聞いております。現段階は検証段階であり、その結果に着目しているところです。 これらの最新技術等につきましては、先ほども答弁させていただいたとおり、導入について救急隊員の活動プロトコルにおいて検討されるものというふうに考えておりまして、現時点で市として導入することは考えておりません。 なお、今後、DX推進の観点から、これらの技術が全国的に普及していくこともあるということで、新たな取組については、その動向に注視してまいります。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) 次の質問は、消防団員の確保についてであります。 消防団員の処遇改善策として、これまで様々な施策が実施されてきました。例えば、出動報酬、手当という表現から、報酬というふうに変更されましたが、これまでの7,000円から8,000円に増額していただいた。火災、風水害等の災害、捜索などの災害出動で4時間以上の活動に8,000円、4時間未満の活動なら半額の4,000円を支給していただく。訓練や自主防指導、警戒出動等はこれまでどおり3,000円、出初め式などの行事は1,500円を支給、また、今年度から出動報酬は直接個人に支給することというふうになりました。 また、操法大会については、各支団ごとに操法大会を実施する支団、しない支団があるということです。実施しない支団は、その代わりとなる訓練を実施する予定であると聞いております。 高山支団は全部の班の車両がポンプ車のみであり、今年は小型ポンプ操法の年のため、支団大会は実施しないという年度に当たります。今後の高山支団大会開催方法については、現在検討中とのことであります。 丹生川、荘川、一之宮、高根、上宝は、今年度は支団大会は実施しない。ただし、丹生川は市大会には出場すると。 清見、久々野、朝日、国府は支団大会を実施する。清見は市大会にも出場するといった改善が行われております。 そこで質問です。 消防団員確保体制について、処遇改善に加えて、どのような改革を考えておられるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。 ○議長(水門義昭君) 松山消防長。   〔消防長松山孝生君登壇〕 ◎消防長(松山孝生君) 団員の処遇改善として、昨年度、出動報酬等を増額し、今年度から施行しているところであります。 そのほかの団員確保策としては、消防団長及び支団長等で構成する高山市消防団組織等検討委員会が中心となりまして、団員の負担が特に大きいと言われる消防操法の訓練や大会などの見直しに取り組んでいます。 市操法大会を各支団からエントリー方式にすることや、長期間、連日連夜の訓練計画とならない工夫をすること、操法前半、後半を省略した新しい実施要領を取り入れることなどを実践しています。 消防操法は、火災を消火するための基本的かつ重要な訓練です。従来よりも操法訓練に費やす時間は短くなり、団員の負担が軽減されましたが、消防団に対する地域住民の期待や信頼に応えるためには、複雑多様化する災害に対応するための様々な基本的な能力を身につける必要があります。そこで、各支団の年間訓練計画の中に、消防署との連携訓練や、近隣支団との応援出動、合同訓練を取り入れるなど、消防団活動の充実、向上に努めています。 団員の確保は、各支団、分団、班の団員による地道な勧誘が大きな柱となっていますが、報酬など処遇改善や、操法訓練等の負担軽減、様々な災害にも安全、確実に消防団活動ができる環境を整えることにより、団員確保につなげられるよう進めてまいります。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) ただいまの消防長の御答弁のように、様々な団員確保策が取られておりまして、これは恐らくすぐに効果が出るものではなくて、数年先を見据えた環境整備ということになるのではないかと考えますが、引き続き地道に、環境整備等を行っていっていただきたいと考えます。 次の質問です。 次の質問は、無形文化財の伝承についてであります。 昨年6月議会でも、水門議員が同じ質問をされています。そのときの市の答弁は、市としては、これまでにも高山祭、屋台等の保存修景はもとより、ふるさと伝承記録整備事業であるとか、伝承芸能保存団体への補助などを行いながら、伝承芸能の保存に努めてきましたが、国の制度の活用も研究しながら、伝統文化、伝統行事の保護継承に努めていきたいということでありました。 私がここで提案したいのは、これまで受け継がれてきた、例えば闘鶏楽の踊り。かねをたたくのは、地言と言われる、いわゆる楽譜があります。これは紙に書かれたもので、そのとおりにたたけば、かねをたたくことはできるんですが、たたきながら、闘鶏楽は踊りを踊ります。それが代々伝承されてきているわけですが、今ある神社では、あれ、こういうふうやったかなとか、ちょっと疑問が出てきまして、正しく伝承されているかどうか、そこが心配であるという、そういう議論が巻き起こっておりまして、それがデジタルアーカイブ事業のようなものを使って、映像で後世に残せれば、何かの事情で祭りの練習ができなかったり、祭り行事そのものができなくても、正しく残すことができるのではないかと考えます。 そこで質問です。 各地域で神社の祭礼において、闘鶏楽や獅子舞、雅楽、浦安の舞等が行われるが、コロナ禍で継承が危ぶまれている。市は地域の無形文化財の保存についてどう考えるか。 ○議長(水門義昭君) 田中教育委員会事務局長。   〔教育委員会事務局長田中裕君登壇〕 ◎教育委員会事務局長(田中裕君) 先ほど議員からも御紹介いただきましたが、市ではこれまで、祭礼行事などの指定文化財に対しましては、ふるさと伝承記録整備事業や、伝承芸能保存団体への助成を行い、保存と活用に努めてきています。 また、小中学校においては郷土教育の一環として、地域の文化財を学びながら、伝承芸能に取り組んでいるところです。 しかしながら、令和3年度に市内の伝承芸能保存団体や神社氏子総代に市が実施したアンケート調査によりますと、新型コロナウイルス感染症の影響で、9割の団体が各地域の神社で行われる祭礼行事などを取りやめ、または規模を縮小して実施しており、今後の保存、継承が危惧されているところでございます。 国では、文化財保存活用地域計画の作成推進や、無形文化財及び無形民俗文化財の登録制度を新設し、指定文化財だけでなく、未指定文化財も含めた保存活用の取組を進めてきています。 市も、伝承芸能など祭礼行事につきましては、地域コミュニティにとって重要であると捉えており、今後、市が策定を進めます文化財保存活用地域計画に位置づけ、総合的、一体的に取り組むとともに、先ほどの国の登録制度の周知や活用も併せて、文化財の継承に努めてまいります。 また、祭礼行事のこれからの再開に向けて、先ほど申しました伝承記録整備事業で撮りました映像記録等もありますので、これらを皆さんに活用していただけるよう対応もしてまいりたいと思っています。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) 次の質問は、健康寿命の延伸策についてであります。 ある市民から私のところへ次のような話がありました。その人は私と同年代の人でありまして、その人の親が80代であったことから、こういうことを言われたんですね。私の父は80歳以上で、自分の歯が20本以上残っている。なのに、なぜ表彰してもらえないんだろうかと。 8020運動は、国、歯科医師会で80歳になっても自分の歯を20本以上保ちましょうというもので、達成者と認定されて表彰を受けるためには、かかりつけの歯科医や最寄りの歯科医で健診を受けなければなりません。つまり、健康な歯の持ち主は歯医者へ行かないため、表彰から漏れてしまうというケースがあるということのようです。 アメリカでは、虫歯などの歯科治療は、日本のような保険制度がないため、かなり高額となり、おいそれと治療が受けられません。ですから、そもそも虫歯や歯周病にならないように、子どものうちから予防をしっかりとすることが一般的だそうです。 アメリカは所得が200万円台の家庭においても50%が予防歯科を行っていますが、日本は2%です。日本人は80歳で残っている歯の数の平均が7本、スウェーデンは20本以上、ふだんから予防歯科に力を入れるアメリカやオーストラリア、オランダは15本以上です。 また、市では国民健康保険加入者を対象にしたがん検診や健康診断は毎年行っているのに、歯科疾患検診は対象が40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳になる市民というように、一部の人に限られています。歯、口腔の健康について、配慮は十分なのだろうかと心配せざるを得ません。 そこで質問です。 8020運動を今後さらに発展させる方法について、どのようにお考えでしょうか。 ○議長(水門義昭君) 橋本市民保健部長。   〔市民保健部長橋本宏君登壇〕 ◎市民保健部長(橋本宏君) 8020運動は、議員御紹介のとおり、80歳になっても20本以上の自分自身の歯を保とうという運動で、国と日本歯科医師会が提唱して、広く国民に呼びかけを行っているというものでございます。 当市では8020運動の展開に当たっては、飛騨口腔保健協議会を始めとする市内歯科医師と連携して、それぞれの歯科医院で運動の周知や達成者の推薦をしていただいているほか、市の広報による啓発を毎年5月に実施しているというところでございます。 20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができるというふうに言われておりまして、健康な歯を保つことが健康寿命の延伸にもつながると考えております。 今ほど予防歯科というお話もございました。そういったことも含めて、市のほうでも歯科医師会さんとも連携をしながら、飛騨口腔保健協議会などの場でも講演会なども行って、そういったことを周知しているところでございます。 今後も、多くの方に自身の歯の健康を保っていただけるように、定期的な歯の検診や毎日の歯磨きについて引き続き啓発をしていきながら、8020運動についても様々な機会を捉えて、周知の強化に努めてまいります。 ○議長(水門義昭君) 西田議員。 ◆8番(西田稔君) 歯を失う原因は、虫歯と歯周病です。歯周病は日本人の約8割がかかると言われておりまして、40歳前後からは特に注意が必要だと言われております。自覚症状がないため、気づかないうちに進行をするんだそうです。放置すると、全身に悪影響を及ぼします。例えば、糖尿病、誤嚥性肺炎、心臓疾患、脳血管疾患、骨粗鬆症などです。 歯、口腔の健康は、先ほど部長の答弁の中にもありましたが、口から食べる喜び、話す楽しみを保つ上で重要であり、身体的な健康のみならず、精神的、社会的な健康にも大きく寄与いたします。 また、歯の喪失によるそしゃく機能や構音機能、構音機能というのは「音を構える」と書きます、の低下は多面的な影響を与え、最終的に生活の質、クオリティー・オブ・ライフに大きく関与いたします。 8020運動からさらに踏み込んで、予防歯科にも力を入れる必要があると考えます。 以上で私の一般質問を終わります。 ○議長(水門義昭君) 以上をもって、西田議員の質問を終わります。  ================ △閉議・散会 ○議長(水門義昭君) 以上で、本日の一般質問を終わります。 残余の一般質問につきましては、明日午前9時30分から続行したいと思いますので、御了承願います。 これをもちまして、本日の会議を閉じ、散会します。     午後4時57分散会==================================== 地方自治法第123条第2項の規定によりここに署名する。         高山市議会 議長  水門義昭               副議長 谷村昭次               議員  西本泰輝               議員  橋本正彦...